(昭和31年度) (組織)防衛庁 (項)防衛庁
(組織)防衛庁 (項)防衛庁
防衛庁調達実施本部で、技術研究本部(旧技術研究所)の要求により、昭和32年3月、随意契約によりポルベルフィチ・ジョバンニ・スタッキーニ株式会社(以下「スタッキーニ会社」という。)から航空機塔載用8センチメートルロケット弾および発射装置一式を総額47,346,368円で購入する契約を締結し、うち前払金として22,730,175円を支出しているが、前払金の保全に関する処置が適切を欠いたため契約が履行されない結果となったにもかかわらずその回収が困難となっている。
右は、空対空ロケット弾の研究開発のためイタリアのスタッキーニ会社製の本件ロケット弾および発射装置を選定して購入することとし、検査費を除く全契約金額の50%に相当する22,730,175円を銀行保証状(同会社において契約品の引渡が不可能となった際は前払金額を限度として支払を保証することを内容とする。)と引換に前金払すること、製品はナポリ港船積渡し、船積開始は前払金受領後7箇月以内とすることなどを条件として契約を締結し、32年3月、右前払金を支出し、4月、東京銀行を通じて同銀行のイタリアにおける取引先銀行クレジット・イタリアーノに送金したところ、スタッキーニ会社は契約書に定められている銀行保証状を取得することが困難となり、10月にいたり同会社の要請により銀行保証状に代えてオルトレポ保険会社の発行する保険証券でも差支えないことに契約を更改し、33年3月31日を有効保証期限とする保険証券(保証期限内に船積が開始されない場合にはスタッキーニ会社の通知により防衛庁に対する前払金の返還を保証する。)と引換に32年10月18日右前払金がスタッキーニ会社に支払われたものである。
しかして、本件製品については同会社の事情により保険証券の有効期限を経過して33年11月現在なお船積されていないものであるが、一方、前払金の返還については保険会社から保険証券は失効したものとして返還を拒否され現在その回収が困難な状況となっているものである。
このような結果となったのは、本件契約が会社内容等も確知しない外国会社との直接契約でもあり、契約内容からして前払金を担保する保険証券の有効期限については少なくとも製品の船積時期までとすることが必要であったのに、契約上の船積開始時期(スタッキーニ会社の前払金受領日が32年10月18日であるので船積開始時期は33年5月17日となる。)よりさらに早期の33年3月31日を有効期限とする保険証券を徴するなど前払金の保全に関する処置が適切を欠いたことによるものと認められる。