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  • 昭和32年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第6 農林省|
  • (一般会計)(特定土地改良工事特別会計)|
  • 不当事項|
  • 工事

代行工事の施行にあたり処置当を得ないもの


(399)−(401) 代行工事の施行にあたり処置当を得ないもの

(一般会計) (昭和31年度) (組織)農林本省 (項)開拓事業費
(同) (組織)農林本省 (項)開拓事業費

(特定土地改良工事特別会計) (項)土地改良事業費

 農林省で、事業費の全額を国が負担して開墾、干拓等国営土地改良事業の一部を都道府県に実施させている代行工事については、北海道開発局および仙台農地事務局ほか6箇所でその経費を支出しているものであるが、本院において、昭和33年中、前年に引き続き、これら代行工事施行地区745箇所のうち、北海道ほか18県につきその21.8%に相当する163箇所を検査したところ、関係当局の指導監督の強化により従来見られたような不当事項は減少し、とくに工事の出来高不足については、北海道開発局および各農地事務局が現地を検査して是正の処置を講じており改善の跡が顕著であるが、なお、かんがい排水補助事業として施行すべきものを代行工事に含めているもの、僅少な既耕地に多額の経費で橋りょうの架換を施行しているもの、しゅんせつの経費を過大に積算したものなど処置適切を欠くものが次のとおり3件不当工事費約2,080万円ある。

(399)  京都農地事務局名古屋建設事務所で、岐阜県に施行させている川西北部地区開墾建設工事は、開田106町、開畑30町の造成を行うとともに、既成田49町に対しかんがい用水を補給するため、代行工事費68,644,000円に既成田に対する用水補給分として地元に負担させることとした7,103,000円を合わせ総工事費75,747,000円をもって頭首工1箇所、水路延長8,817メートル等を施行する計画のもとに、昭和29年度に着工し、32年度までに8,730,000円(うち32年度分4,800,000円)で水路延長988メートルを施行したものであるが、前記開田予定の106町のうち26町6反は既成の畑地を水田とするものであるからかんがい排水補助事業として施行すべきものであり、この分に相当する16,794,000円(うち32年度までの施行分相当額2,003,027円)は代行工事の対象外とすべきものである。

(400)  熊本農地事務局で、宮崎県に施行させている堂屋敷地区開墾建設工事は、総工事費4,292,000円をもって道路延長3,873メートルおよび橋りょう3箇所を施行するもので、昭和32年度に1,910,000円をもって架設した橋りょう3箇所のうち902,506円で施行した第3号橋りょうは、1町2反を耕作する在来の農家1戸が利用するにすぎないものであるから代行工事の対象外とすべきものである。

(401)  熊本農地事務局で、長崎県に施行させている有馬地区代行干拓建設工事のうち、昭和32年12月、随意契約により予定価格と同額の17,300,000円をもって株式会社水野組に請け負わせ施行した堤とう工事は、300馬力のポンプ式しゅんせつ船を使用して堤とう延長1,860メートルに116,074立米をしゅんせつ盛土するもので、盛土工はしゅんせつ1立米当りの経費を人件費および償却費等28円78,修理費22円96,修理消耗機械償却費45円30計97円04として11,290,676円を積算したものであるが、修理消耗機械償却費として見込んだ45円30のうち修理消耗費41円06は、農林省が修理費の算定基準として採用している1,000馬力ポンプ式しゅんせつ船で10,000立米をしゅんせつする際に要する経費を、本地区の土質に応じて300馬力のものに換算したもので、これによりしゅんせつに要する修理費は積算されているのであるから、立米当り22円96の修理費を重ねて計上する要はなかったものである。
 いま、仮にこれにより盛土工の経費を計算するとしゅんせつ1立米当りの単価は74円08となることなどにより総額8,715,248円となり、本件積算はこれに比べて諸経費を含め約310万円高価となっている。