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  • 昭和32年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第9 郵政省|
  • (郵政事業特別会計)(簡易生命保健及郵便年金特別会計)|
  • 不当事項|
  • 不正行為

職員の不正行為により国に損害を与えたもの


(426)−(436) 職員の不正行為により国に損害を与えたもの

 千葉ほか14郵便局(注) で、昭和26年10から33年6月までの間に、関係職員により繰替払現金等をほしいままに領得されたものが1事項5万円以上のもので15事項26,907,926円(うち33年9月末現在補てんされた額3,843,330円)ある。
 右は、各郵便局において、

(ア) 貯金、保険担当の外務員が、郵便貯金の集金、払もどしおよび簡易生命保険保険料収納の事務等に従事中、預入金もしくは保険料を受領しながら受入処理をしないでまたは払もどし金を領得したもの、

(イ) 窓口事務担当の内務員が、為替、貯金等の現金受払事務に従事中、郵便貯金預入金または簡易生命保険保険料を受領しながらその全部もしくは一部について受入処理をしなかったり、または郵便貯金払もどし金受領証を偽造して現金を領得したもの、

(ウ) 特定郵便局長または普通郵便局主事が分任繰替払等出納官吏として勤務中、郵便貯金預入金を受領しながらその全部もしくは一部について受入処理をしなかったり、または郵便貯金払もどし金受領証を偽造して現金を領得したもの、

(エ) 普通郵便局庶務会計課長が収入印紙の出納保管事務に従事中、保管中の収入印紙を領得したものなどである。

 これらの不正行為の防止については、当局においても業務考査体制を強化して不正行為の未然防止および早期発見に努めるとともに、不正行為の態様を検討することにより業務取扱手続の改善をはかるなどその対策には相当意を用いている跡は見受けられるが、なお、前記のように類似の事例が絶えない状況であり、ことに局内職員を監督する地位にある普通郵便局庶務会計課長、主事または特定郵便局長が多額の現金等を領得している事実の発生していることは遺憾である。
 前記15事項のうち1事項50万円以上のものをあげると左のとおり11件26,181,258円(うち33年9月末現在補てんされた額3,799,630円)である。

(注)  左に掲記した箇所のほか東淀川、住吉、小野田、郡山各郵便局

庁名 不正行為をした職員 不正行為期間 不正行為金額 補てんされた額
(33.9.30現在)

(426)

千葉郵便局

出納員
事務員
 田中某
年月
31.10から
32.5まで

529,822

19,000
同人が貯金課外務員として定額郵便貯金等の募集および集金事務等に従事中、定額郵便貯金預入金等の受入手続をしないでまたは定額郵便貯金証書の再交付請求書等を偽造しもしくは積立郵便貯金払もどし金を預金者に交付しないで領得したものである。
(427) 勝鹿郵便局 事務員
 青木某
30.9から
32.5まで
1,462,000 180,000
同人が窓口で現金受払事務に従事中、通常郵便貯金の払もどし金受領証を偽造して領得したものである。
(428) 半田郵便局 郵政事務官
 菅某
27,7ごろから
33.6まで

壱万円収入印紙950枚ほか2点
額面金額14,361,000

壱万円収入印紙213枚ほか2点
額面金額2,140,000

同人が庶務会計課長(32年1月9日までは切手類会計官吏)として収入印紙の出納保管事務に従事中、自己の保管している高額収入印紙を領得したものである。
(429) 神戸中央郵便局三宮分室 分任繰替払等出納官吏
郵政事務官(主事)
 河村某
31.6から
33.4まで
725,000 12,006
同人が分任繰替払等出納官吏として勤務中、定額郵便貯金預入金等の預入報告をしないでまたは少額にして領得したものである。
(430) 下波郵便局 分任繰替払等出納官吏
特定郵便局長
 浜田某
31.5から
32.6まで
904,708 453,208
同人が特定郵便局長として勤務中、通常郵便貯金預入金の預入報告をしないでもしくは少額にし、または通常郵便貯金の払もどし金受領証を偽造するなどの方法により領得したものである。
(431) 草壁郵便局 郵政事務官
 牛田某
26.10から
32.11まで
2,253,628 341,286
同人が窓口で現金受払事務に従事中、通常郵便貯金預入金等の預入報告をしないでもしくは少額にし、または通常郵便貯金の払もどし金受領証を偽造するなどの方法により領得したものである。
(432) 門司郵便局 出納員
郵政事務官
 中村某
31.7から
32.10まで
1,591,600 0
同人が貯金課外務員として積立郵便貯金等の集金事務に従事中、積立郵便貯金預入金の受入手続をしないで領得したものである。
(433) 秋田郵便局 出納員
郵政事務官
 工藤某
28.2から
32.7まで
509,081 10,000
同人が保険課で窓口現金受払または外務員の集金取まとめ事務に従事中、窓口で受領した保険料預り金の受入報告を少額にし、または外務員から払込のあった保険料の受入手続をしないで領得したものである。
(434) 内郷宮郵便局 分任繰替払等出納官吏
特定郵便局長
 荒某
30.8から
32.8まで
1,956,389 487,928
同人が特定郵便局長として勤務中、定額郵便貯金預入金の預入報告をしないで領得したものである。
(435) 陸別郵便局 出納員
郵政事務官
 土屋某
29.6から
32.8まで
691,690 29,145
同人が窓口で現金受払事務に従事中、通常郵便貯金預入金の預入報告をしないで領得したものである。
(436) 網走北6条郵便局 出納員
事務員
 山本某
30.6から
32.9まで
1,196,340 127,057
同人が窓口で現金受払事務に従事中、通常郵便貯金預入金の預入報告をしないで、または定額郵便貯金の払もどし請求書、証書再交付請求書等もしくは通常郵便貯金の払もどし金受領証を偽造して領得したものである。
26,181,258 3,799,630