昭和32年度歳出決算額は304億7千2百余万円で、そのうち失業保険費負担金は81億9900万円、公共職業安定所が支給する政府職員等失業者退職手当は7億2千4百余万円、地方公共団体が実施する失業対策事業に対する補助金は153億5千2百余万円であるが、33年中に実施した検査においては、従来と同様歳出決算額の約50%に上る失業対策事業に対する補助金に重点を置きその経理および事業施行の適否について実施した。
地方公共団体が実施した失業対策事業に対する検査の結果不当事項として指摘したものは、経理が当を得ないため国庫補助金を返納すべきものが1事業主体当り10万円以上のもので16事項9百余万円あり、また、計画が当を得ないため不経済となっているものが3件あるが、このほかなお次のような点に留意を要するものと認められる。
失業対策事業における作業能率の改善については労働省においても特別指導訓練作業の実施、応能制賃金の強化、小間割作業の実施、管理監督組織の強化等の諸施策を講じているが、実地検査の結果によると、その作業能率が低く作業歩掛が一般公共事業のそれに比較して3倍以上となっているものが、北海道ほか23事業主体で道路整備事業等に見受けられ、はなはだしいものは22倍にも上っている。