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  • 昭和32年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第11 建設省|
  • (一般会計)|
  • 不当事項|
  • 補助金

公共事業に対する国庫負担金等の経理当を得ないもの


(457)−(474) 公共事業に対する国庫負担金等の経理当を得ないもの

(組織)建設本省 (項)河川等災害復旧事業費 ほか9科目

 地方公共団体が施行した公共土木施設の建設、改良および災害復旧等の工事に対する国庫負担金または国庫補助金(以下「国庫負担金」という。)は、道路法(昭和27年法律第180号)、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年法律第97号)等の根拠法規に基いて交付されるものであり、昭和32年度において支出したその合計額は846億6千4百余万円で建設省所管支出済歳出額1366億9千4百余万円の61.9%に当っている。しかして、右に対する検査については従来災害復旧事業に重点を置いて実施してきたところであるが、33年においては、これとともに道路事業、都市計画事業等一般公共事業についても留意し、その経理および工事施行の状況について、全国の工事現場45,195箇所のうち北海道ほか34都府県につきその13.8%に相当する6,251箇所(事業費37,362,256,843円、国庫負担金23,374,375,666円)を実地に検査したところ、災害復旧事業については、工事のしゅん功検査を厳重に励行するなど関係当局の指導監督の強化および事業主体の自覚等により従来に比べて相当改善の跡が認められ不当事項として指摘したものは前年よりさらに減少したが、なお、護岸等の石垣工事における胴込、裏込コンクリートが設計に対し不足していて工事が出来高不足となっているものなどがあり、また、災害復旧事業以外の工事については右と同様、設計に対し工事の出来高が不足しているもの、切土において玉石交りの粘土を転石交り軟岩とするなど設計が過大と認められるもの、または工事の残材についての精算処理が適当でないものなどがあり、災害復旧事業以外の一般公共事業についても工事の施行および経理処置についてさらに適正を期する要がある。しかして、国庫負担金を除外すべきことの判明したもので除外すべき額1工事10万円以上のものが青森県ほか19都県(注) において28工事10,597,070円あり、右のうち国庫負担金を除外すべき額1工事20万円以上のものをあげると左のとおり18件9,001,608円である。

(注)  左に掲記した都県のほか青森、福井、島根、鹿児島各県

県名 工 事 事業主体 工事費 同上に対する国庫負担(補助金) 同上のうち32年度までの交付済額 国庫負担(補助)工事費から除外すべき額 同上に対する国庫負担(補助)金相当額
(うち33年度以降交付予定額中減額を要する額)

(457)

岩手県

一関市市道須川線道路改良(企業合理化促進)

一関市

2,706,943

1,804,628

1,804,628

1,571,449

1,047,632
道路延長2,012メートルの改修にあたり、切取土12,314立米のうち10,830立米を転石交り軟岩として12,127,100円(国庫補助対象額10,027,100円)で請け負わせ、32年度で4,092,572円(国庫補助対象額2,706,943円)相当の工事を施行したこととしているが、現地の土質は右設計と著しく異なり設計に比べて軟質のものが多いと認められたので当局に注意して精査させたところ、切取土は17,477立米と増加するがうち10,266立米は玉石交り粘土となるなどのため工事費は8,896,594円で足り、3,230,506円相当額(国庫補助対象額2,671,092円うち32年度分1,571,449円)が設計過大となっている。
 
なお、同市は33年3月までに4,092,572円相当の工事を施行したとしているが、33年5月会計実地検査当時において硬土、粘土の切取1,139立米等186,000円相当の工事を施行したにすぎず、また、このような出来高に対し工事請負人に1,450,000円を支払い、かつ、帳簿上の支払を3,274,000円とし1,824,000円を別途預金として保有していた。
 
(458) 秋田〃 由利郡松ケ崎村衣川26年災害復旧 本荘市(旧松ケ崎村) 500,000 333,500 333,500 500,000 333,500
護岸延長30メートルを練積石垣156平米で復旧したこととしているが、実際はうち18メートルは査定外の箇所を施行しており、また、国庫負担対象の12メートルについては石垣の根入れが著しく不足しているばかりでなく土台木も施行していないなどのためすでに崩壊していて災害復旧の目的を達していない。
 
(459) 茨城県 真壁郡真壁町県道石岡下館線道路改良 茨城県 6,214,605 4,143,070 4,143,070 304,000 202,666
道路延長740メートルの改修にあたり、練積石垣1,487平米は胴込コンクリート平米当り0.2立米総量297立米を、また、コンクリート側溝896メートルは底厚12センチメートルでコンクリート総量251立米を施行したこととしているが、実際は胴込コンクリートは平米当り0.15立米総量223立米を、また、側溝の底厚は3分の2程度で総量229立米を施行したにすぎず、工事費304,000円相当額が出来高不足となっている。
 
(460) 東京都 西多摩郡檜原村小沢ほか3団地公営住宅建設 檜原村 5,216,000 2,608,000 2,608,000 587,275 293,637
公営住宅15戸を工事費5,216,000円で建設したこととしているが、実際は4,628,725円で施行しており、事業主体はその負担したとしている2,608,000円のうち587,275円を負担していない。
 
(461) 神奈川県 横浜市県道横浜鎌倉線吉田橋架換 横浜市 38,640,000 25,760,000 25,760,000 1,137,500 758,333
橋りょう架換工事費の精算にあたり、その工事費38,640,000円を国庫補助基本額としているが、工事施行に伴い発生した鉄筋76トンを売却した収入金1,137,500円は右基本額から控除すべきである。
 
(462) 新潟〃 東蒲原郡上川村常浪川災害関連 新潟県 20,056,000 12,905,269 12,905,269 1,489,000 958,115
護岸延長1,107メートルの復旧にあたり、練石張4,661平米は平米当り胴、裏込コンクリートおよび裏込ぐり石をそれぞれ0.3立米総量1,398立米ずつ施行したこととしているが、実際は胴、裏込コンクリートはその3分の2程度を、また、2,634平米については裏込ぐり石を2分の1程度施行したにすぎないなどのため工事費1,489,000円相当額が出来高不足となっている。
 
(463) 富山〃 東礪波郡平村村道小谷川線28年災害復旧 平村 2,031,665 1,844,751 1,844,751 424,000 384,992
道路延長38メートルの復旧にあたり、路側コンクリート擁壁は高さ9.5メートルまたは10メートルで総量414立米を施行したこととしているが、実際は高さ8.1メートルまたは8.9メートル総量329立米を施行したにすぎず、工事費424,000円相当額が出来高不足となっている。
 
(464) 山梨〃 北巨摩郡武川村大武川28年災害復旧 山梨県 2,337,600 1,631,644 1,631,644 298,000 208,004
護岸延長60メートルの復旧にあたり、練石張345平米は控45センチメートルの築石を使用し、胴込コンクリート平米当り0.23立米総量79立米を施行したこととしているが、実際は築石は控35センチメートル程度のものを使用し、胴込コンクリートは0.12立米総量41立米を施行したにすぎないなどのため工事費298,000円相当額が出来高不足となっている。
 
(465) 愛知〃 知多郡上野町2級国道名古屋半田豊橋線ほか10舗装新設および舗装補修 愛知県 90,244,123 49,348,826 49,348,826 1,688,007 893,913
道路舗装の新設および補修工事費の精算にあたり、その工事費90,244,123円を国庫補助基本額としているが、工事施行に伴い発生したアスファルトあきかん5,172個を売却した収入金1,688,007円は右基本額から控除すべきである。
 
(466) 名古屋市都市復興事業上水道配水管移設 名古屋市 24,498,974 12,249,487 12,249,487 1,793,473 896,736
土地区画整理のため施行した上水道配水管移設工事費の精算にあたり、その工事費24,498,974円を国庫負担基本額としているが、工事施行により撤去した再使用不能の鋳鉄管ほか2点のうち売却した27トンの収入金1,280,056円および保有している24トンの評価額513,417円の合計額1,793,473円は右基本額から控除すべきである。
 

114,743,097 61,598,313 61,598,313 3,481,480 1,790,649
(467) 三重県 桑名市都市計画街路桑名西方線築造 桑名市 3,194,410 2,129,606 2,129,606 526,000 350,666
街路延長410メートルの築造にあたり、切土6,182立米、盛土2,481立米は人力で施行したこととして工事費を3,194,410円と精算しているが、実際は市単独の宅地造成工事と合併して機械で施行したものであって、これにより計算すれば国庫補助対象額は2,668,410円で足りたものである。
 
(468) 広島県 佐伯郡友和村神宮川26年災害復旧 佐伯町(旧友和村) 1,839,700 1,780,829 1,364,202 306,000 296,208(296,208)
護岸延長145メートルの復旧にあたり、練積石垣619平米のうち下部445平米は裏込コンクリート平米当り0.1立米総量44立米を施行したこととしているが、実際はこれを全く施行していないなどのため工事費306,000円相当額が出来高不足となっている。
 
(469) 徳島〃 徳島市都市計画街路幟町ほか5地区側溝新設 徳島県 1,625,273 812,636 812,636 423,000 211,500
側溝延長3,891メートルの新設にあたり、幟町ほか3地区のL型側溝1,367メートルは底厚10センチメートル、コンクリート総量82立米を施行したこととしているが、実際はコンクリートが粗悪で底厚も5センチメートルから7センチメートル程度総量55立米を施行したにすぎないため随所にき裂を生じ一部はすでに破損している。
 
(470) 高知〃 土佐郡大川村村道朝谷線道路改良(企業合理化促進) 大川村 12,551,905 8,367,936 8,367,936 1,421,000 947,333
道路延長2,288メートルの改修にあたり、路側および山留練積石垣は5,401平米を胴込コンクリート平米当り0.1立米総量540立米で施行したこととしているが、実際はうち1,997平米は胴込コンクリートが著しく粗悪でから積同様の状態であり、3,118平米の胴込コンクリートは3分の2程度で総量218立米を施行したにすぎないなどのため工事費1,421,000円相当額が出来高不足となっている。
 
(471) 福岡〃 早良郡早良町県道福岡佐賀線道路改良 福岡県 13,334,000 8,889,333 8,889,333 315,000 210,000
道路延長458メートルの改修にあたり、硬岩切取6,226立米を施行したこととしているが、実際は5,861立米を施行したにすぎず、工事費315,000円相当額が出来高不足となっている。
 
(472) 八幡市平野川28年災害復旧 八幡市 2,321,400 1,857,120 1,857,120 474,000 379,200
護岸延長320メートルの復旧にあたり、練積石垣482平米は平米当り胴、裏込コンクリート0.21立米または0.26立米総量107立米、裏込ぐり石0.3立米または0.35立米総量148立米を施行したこととしているが、実際は胴、裏込コンクリートはその3分の1程度、裏込ぐり石は半量程度を施行したにすぎないなどのため工事費474,000円相当額が出来高不足となっている。
 
15,655,400 10,746,453 10,746,453 789,000 589,200
(473) 熊本県 飽託郡河内芳野村小責川32年災害復旧 河内芳野村 6,556,000 5,100,568 5,100,568 280,000 217,840
護岸延長328メートルの復旧にあたり、練積石垣1,180平米は裏込コンクリート平米当り0.3立米総量354立米を施行したこととしているが、実際はうち459平米は半量程度で総量295立米を施行したにすぎず、工事費280,000円相当額が出来高不足となっている。
 
(474) 大分〃 津久見市都市計画街路松崎中ノ内線築造 津久見市 1,916,300 1,277,533 1,277,533 617,000 411,333
街路延長60メートルの築造にあたり、練積石垣480平米は平米当り胴込コンクリート0.12立米総量57立米、裏込ぐり石0.6立米総量288立米をを施行したこととしているが、実際は胴込コンクリートは半量程度、裏込ぐり石は0.45立米総量216立米を施工したにすぎないなど工事の施工が粗漏でその一部はすでに崩壊している。
 
  合計 235,784,898 142,844,736 142,428,109 14,154,704 9,001,608
(296,208)