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  • 昭和32年度|
  • 第3章 政府関係機関の会計|
  • 第2節 各政府関係機関別の不当事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
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  • 物件

鉄製セントルの購入価額が高価と認められるもの


(487) 鉄製セントルの購入価額が高価と認められるもの

 日本国有鉄道資材局で、昭和32年7月および8月、公開競争入札後の公正協議による契約により川田工業株式会社から鉄製セントル1号型60組、2号型120組計180組を総額25,885,200円で購入しているが、調査が十分でなかったため予定価格が過大となり、ひいて購入価額が約520万円高価となっていると認められる。

 右は、溝形鋼、鋼板等を主材料とし、ずい道の覆工用として使用するもので、その購入にあたっては、予定価格を1組当り1号型125,700円から132,800円、2号型143,600円から184,800円と算定し、予定価格と同額で購入しているものであるが、その予定価格の積算についてみると、本件価額の過半を占める製作加工費については1組当り1号型(452.29キログラム)は76,500円、2号型(537.09キログラム)は88,740円から91,800円と積算していて、これをトン当りに換算すると約16万4,000円から17万円、製品価額としてトン当り約26万2,000円から27万6,000円となっているが、別途ほぼ同時期に日本国有鉄道信濃川工事事務所で購入したI形鋼を主材料とする鉄製セントルについては製作加工費としてトン当り約3万4,000円、製品価額としてトン当り約18万2,000円を採用しており、また、電源開発株式会社で購入した溝形鋼、鋼板等を主材料とする鉄製型わくについても製作加工費としてトン当り約6万6,000円、製品価額としてトン当り約21万5,000円を採用している状況で、本件鉄製セントルの製作加工費の積算は著しく過大に失するものと認められる。
 しかして、本件鉄製セントルは溝形鋼等を主材料としていることからしてI形鋼等を主材料としている信濃川工事事務所の例に比べて加工に手数を要し、電源開発株式会社の鉄製型わくに比べて使用材料をほぼ同じくし、構造が簡単で加工が容易であることを考慮し、仮に、電源開発株式会社で購入した鉄製型わくの製品価額を基準として計算しても1組当り1号型約10万円から10万7,000円、2号型約11万7,000円から15万3,000円総額約2060万円となり、本件購入価額はこれに比べて約520万円高価となる計算である。