資材の調達にあたり購入計画が適切でないため購入品が使用時期を失する結果となったりまたは過大調達となるなど不経済となっていると認められるものが次のとおりあるが、資材の購入要求部局においては事業計画の決定等について適確に調達部局に連絡し、かつ、適期に準備要求を行うなどの配意がとくに必要であると認められる。
(489)
日本国有鉄道資材局で、昭和32年7月、公開競争入札後の公正協議による契約により川崎重工業株式会社ほか1会社から車両用扇風機2,234個を単価15,000円から17,100円総額37,883,100円で購入しているが、購入計画が適切を欠いたなどのため、そのうち1,915個価額32,432,400円が当該年度において使用時期を失し、未使用のまま保管する結果となっている。
右扇風機は、車両に取り付け夏季における旅客サービスの向上をはかる目的で購入したもので、その使用期間は部内規程により毎年6月1日から9月30日まで(北海道地域は6月21日から9月20日まで。取付は使用開始期日前15日以内)となっているものであるが、工作局からの準備要求が32年6月に行われた結果、調達部局である資材局では7月下旬にいたり納期を7月24日から9月10日までとして購入契約を締結し、いずれも使用開始時期より著しく遅延して8月以降に納入されている。
しかして、本品の使用にあたっては、納入箇所である用品庫からさらに取付箇所に保管転換のうえ車両に取り付けられるもので、前記のように納入時期が使用開始時期より著しく遅延したため取付箇所において現品を受領した時にはすでに使用時期を失したものが多く、本件購入数量の約85%に当る1,915個が翌年度の使用時期まで使用されることなくそのまま在庫となっていたものである。
(490)
日本国有鉄道資材局で、昭和32年7月、随意契約により三菱鋼材株式会社ほか4会社から新製車両用交付材料として担ばね(AC3397ZB)3,040個を単価14,730円総額44,779,200円で購入しているが、要求部局と調達部局との連絡が十分でなかったため過大な資材を購入した結果となっている。
本件担ばねは、補修用としても使用されるものであって、資材局では32年度上期分の補修用担ばねとして別途2,790個を32年3月購入(納期は5月1日から31日まで)したものがあり、その購入量は更新修繕用4,318個、その他1,248個として決定されたものであるが、その後5月中旬には、工作局で補修用担ばねの大半を占める更新修繕用担ばねの年間所要量を前記上期所要見込量を下回る3,240個と決定していて、この所要量は31年度末の担ばねの確定残高3,369個で充足可能であることが判明していたものであるから、32年度の一般補修用担ばねの使用見込量約1,000個を考慮しても、前記補修用購入量2,790個のうち約1800個価額約2650万円は新製車両用の交付材料に充足することができるもので、本件購入量の過半は購入の要がなかったものである。
このような結果となったのは、工事主管局である工作局において5月中旬に補修用担ばねの年間所要量を決定しながら、調達部局である資材局との間の連絡が十分でなかったことによるものである。