(項)電信電話施設費
日本電信電話公社北海道電気通信局で、昭和32年6月、指名競争入札後の随意契約により協和電設株式会社に函館局自動改式工事を工事費48,390,000円(ほかに支給材料42,345,021円)で請け負わせているが、工事の施行にあたり、当初の設計と異なる施行を指示したので当然契約を更改して契約金額を減額すべきであったのにこれをしなかったため765,263円を過大に支払っているほか、予定価格の積算が当を得なかったため工事費が約170万円高価となっているものと認められる。
右は、函館電話局の自動改式に伴いマンホール、ハンドホールの築造および管路の敷設をする土木工事で、マンホール、ハンドホールの内、外壁はモルタル仕上げを施行することとなっているのに、工事の監督員が着工時これを不要であると業者に指示してそのまま工事を施行し、その検収を了して当初の契約金額の全額を支払っているものであるが、モルタル仕上げをしないこととしたのであるから当然契約を更改して右に相当する金額を減額すべきであったと認められるのにこれを怠ったため765,263円過大に支払ったものである。
右に対し、同電気通信局は33年11月工事請負人から前記過払額を返納させた旨報告があった。
また、予定価格48,442,903円の積算にあたり、マンホール築造のための鉄筋コンクリート用の洗砂利393立米および洗砂247立米、管路防護用の荒目砂3,068立米ならびに道路復旧用の敷砂利1,156立米を札幌地区の価格により立米当り洗砂利1,300円、洗砂1,100円、荒目砂800円、敷砂利1,000円とし計4,540,010円と算定しているが、本院の調査によれば、函館地区におけるこれらの価格は札幌地区の価格に比べて一般に割安であり、本件契約当時において函館市が道路補修および建築工事用として購入した砂利、砂の価格を勘案すれば立米当り洗砂利1,000円、洗砂600円、荒目砂500円、敷砂利850円が相当と認められる。
いま、仮にこれにより算出すれば3,058,801円となり、このうち前記モルタル仕上工事用の洗砂を除いても本件工事費は約170万円過大となる計算である。