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  • 昭和32年度|
  • 第3章 政府関係機関の会計|
  • 第2節 各政府関係機関別の不当事項|
  • 第6 農林漁業金融公庫不当事項|
  • 不当事項|
  • その他

農林漁業資金の貸付後の管理が不十分なもの


(501) 農林漁業資金の貸付後の管理が不十分なもの

 農林漁業金融公庫が直接または業務委託金融機関を通じて貸し付けた農林漁業資金(農林漁業資金融通特別会計から承継した分を含む。)のうち、本院において、昭和33年2月から8月までの間に、2922件130億6千6百余万円の貸付金について実地に調査したところ、受領済補助金相当額の繰上償還をさせていないもの、業務方法書に定める貸付の限度をこえる結果となっているもの、貸付の目的以外に使用されているものなど管理が不十分で繰上償還等の処理を要するものが、前年度調査未了であったものを含め573件508,138,661円あり、このうも同公庫では33年9月末までに452件366,901,909円について是正の処置を済ませている。

 このような事態が発生しているおもな原因は、同公庫の貸付対象事業に補助金の交付があったときはこの補助金相当額の繰上償還をさせることとなっているのに、委託金融機関と補助金を交付する地方公共団体との連絡が緊密を欠いているものがあり、同公庫はこれが是正について農林省と協力して努力しているがまだその効果が十分あがっていないこと、内部監査および貸付先に対する指導が必ずしも十分でないこと、委託金融機関の事実の確認についての努力が十分でないことによるものと認められる。
 また、右のほか本院の調査したところによると、貸付先における貸付対象事業についての経理が不明であったりまたは事実と相違した経理が行われていて事業の実態の確認が困難であるものが依然として多い。
 いま、前記の農林漁業資金の貸付後の管理が不十分と認められたもののうちまだ是正の処置が済んでいないおもなものをあげると、次のとおりである。

(1) 受領済補助金相当額の繰上償還をさせていないもの

 農林中央金庫ほか7箇所扱で、28年3月から32年4月までの間に、三重県鳥羽市志摩郡第1土地改良区ほか25箇所に対し堤とう新設事業等の資金として70件209,650,000円を貸し付けているが、右は、別途国または地方公共団体等から補助金の交付を受けたときはこの補助金相当額を期日前に償還することを条件として貸し付けているのに、すでに補助金が交付済となってもその償還の処理をしないでそのままになっているものが70,369,753円ある。

(2) 農林漁業金融公庫の業務方法書に規定する貸付の限度をこえる結果となっているもの

 農林中央金庫ほか8箇所扱で、26年7月から32年4月までの間に、徳島県板野郡松茂土地改良区ほか25箇所に対し農地災害復旧事業等の資金として32件189,260,000円を貸し付けているが、このうち借受人が当初申請どおりの工事を施行しなかったりまたは実際の工事が申請額より少額で完成したなどのため、同公庫の業務方法書に規定する貸付の限度をこえる結果となっているものが51,330,114円ある。

(3) 貸付の目的以外に使用されているもの

 農林中央金庫ほか1箇所扱で、31年3月から7月までの間に、香川県大川郡志度町土地改良区ほか1箇所に対し揚水施設新設事業等の資金として3件2,170,000円を貸し付けているが、県営事業の地元分担金に対して貸し付けたのに他の公庫借入金の繰上償還金に使用されるなど資金が貸付の目的以外の資金に使用されているものが1,814,006円ある。