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  • 昭和35年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項|
  • 第2 総理府|
  • (防衛庁)|
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  • 補助金

特別損失防止対策工事補助金の交付にあたり処置当を得ないもの


(6) 特別損失防止対策工事補助金の交付にあたり処置当を得ないもの

 (一般会計) (組織)調達庁 (項)防衛支出金

 横浜調達局で、昭和36年3月および4月、山梨県に対し福地用水特別損失防止対策工事の補助金として13,416,000円を交付しているが、現地調査を十分に行なったならば交付の要がなかったものである。

 本件補助金は、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等の行為による特別損失の補償に関する法律(昭和28年法律第246号)に基づき交付するもので、駐留軍の演習により原野等が荒廃し、豪雨時には土砂等が桂川から福地用水路および周辺農耕地に流入し被害が発生するが、同用水路取水ひ門が施錠固定されているので洪水時にも閉さすることができないから、同用水路の流速を増加し土砂の沈でんを防止するため、延長1,714メートルについてコンクリート三面張りまたはかさ上げ等を施行することとし、これに要する工事費の全額を補助したものである。
 しかしながら、36年8月会計実地検査の際現地を調査したところ、前記用水取入口のひ門とびらは手動巻上式で開閉することができる装置となっているから洪水時にはこれを閉さして土砂等の流入を防止することができるものであり、しかも、その流量は最大毎秒5.3立米程度にすぎず、一方、桂川の許容流量は毎秒240立米で、現に、本件用水取入口の下流にある小明見部落付近から上流にかけては河川改修工事を施行中で、すでに改修済みの同部落付近では洪水時の計画流量が毎秒282立米となっているから洪水時において本件取入口ひ門を閉さしても桂川下流に支障を及ぼすものとは認められない。したがって、本件補助金は交付の要がなかったものである。