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  • 昭和35年度|
  • 第2章 国の会計|
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ジェットエンジンの修理請負契約にあたり処置当を得ないもの


(9) ジェットエンジンの修理請負契約にあたり処置当を得ないもの

(一般会計) (歳出)(組織)防衛本庁(項)防衛本庁
(国庫債務負担行為)(組織)防衛本庁(事項)器材整備

 防衛庁調達実施本部で、航空、海上両幕僚監部の要求により、昭和35年度中に随意契約により次表のとおり川崎航空機工業株式会社(神戸製作所)にJ−47−GE−17Bエンジン等オーバーホールほか7件を請け負わせたものがあるが、経費率(防衛庁では直接労務費率、製造間接費率および一般管理費・利益率を加えたものをいう。)の確定にあたり他の同種契約と異なる算定方法を適用したため、修理費が約182万円高価となっていると認められる。

契約 契約年月日 納期 経費率確定時の契約金額 備考

J-47-GE-17Bエンジン等オーバーホール
年 月 日
35. 5. 2

42,559,800

35年度歳出予算に基づくもの
J-47-GE-27エンジン等オーバーホール 85,606,900
J-33-A-35エンジン等オーバーホール 35. 5. 2 36. 3.31 65,253,000 35年度歳出予算に基づくもの
J-47-GE-17Bエンジン等オーバーホール 35.10.24 36. 5.31 50,481,000 35年度国庫債務負担行為に基づくもの
J-47-GE-27エンジン等オーバーホール 32,875,000
J-33-A-35エンジン等オーバーホール 37,525,000
P2VエンジンJ34-WE-36オーバーホール 36. 2.10 36. 6.30 4,500,000
P2VエンジンJ34-WE-36オーバーホール 〃 〃 8 〃 9.30 3,000,000

 調達実施本部では、この種契約の経費率は前年度の実績または見積りによるものを当初暫定的に適用し、修理の進ちょくに伴いある程度の実績が出来たとき中途確定することとしているものであるが、確定時における算定方法は、受注会社の各決算期ごとにジェット部門、ヘリコプター部門等の部門別の実績または見積りの直接総工数と実績または見積りの加工費等とにより加工費率を算出し、さらに契約ごとにその契約期間に応じてこれら各決算期ごとの加工費率を防衛庁関係発生工数によって加重平均し、これに一般管理費・利益率を加えて経費率を算出するのを例としており、現に、同会社の既往年度分および他の会社との契約においてはすべてこの方法によって計算しているものである。

 したがって、本件契約についてもこの方法によるべきものと認められるから、35年度歳出予算に基づくものについては同会社の第21決算期(35年4月から9月まで)および第22決算期(35年10月から36年3月まで)、35年度国庫債務負担行為に基づくものについては第22決算期および第23決算期(36年4月から9月まで)の防衛庁関係発生工数により計算すべきであるのに、第21決算期から第23決算期までを通じて同会社の全発生工数により計算したのは適切な処置とは認められない。
 いま、仮に前記の計算方法で修正計算すると、経費率は当局計算による714円に対し、歳出予算に基づくものにおいては687円64、国庫債務負担行為に基づくものにおいては744円58または733円05となり、これに関係工数として35年度歳出予算に基づくもの185,100時間、35年度国庫債務負担行為に基づもの89,982時間または15,700時間をそれぞれ乗ずると本件契約は前者で約487万円高価となり、後者で約305万円低額となるから差引き約182万円が高価となる計算である。
 なお、35年度中に別途同会社に請け負わせたヘリコプター等の修理に対する経費率の算出においても前記ジェットエンジン部門と同様の計算方法をとっており、これを本件同様修正計算すると約45万円増額となるものがあり、これを差し引いても約137万円が高価となる計算である。