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  • 昭和35年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項

農林省


第7 農林省

(国有農地等の管理について)

 自作農創設特別措置特別会計所属財産の管理が適切を欠いておりその根本的是正をはかる必要があることについては、昭和33年度決算検査報告に掲記したところであるが、36年においてその改善の状況について調査したところ、境界または所在不明のものについて確認を行なっていないもの、長期間無断で使用されていることが明らかであるのにそのまま放置しているもの、学校、工場等が建設されてから長期間経過し農業上の利用に供しないことが明らかであるのに一時貸付を毎年継続しているもの、荒廃地等で農耕不適となっているもの、または道路、水路敷等となっているものがある。これらについてはすみやかに売払、所管換または所属替の処理を行なうべきであるのに、その処理を行なわず長期間放置しているなど財産の管理はなお全般的に適切を欠いており、とくに改善の成果も認められない状況である。
 このような事態を招いたのは本特別会計が創設された21年度当時買収または処分件数が多数に上り、これがためその処理について誤びゅう等を生じたことがおもな原因と認められるが、財産の管理について特段の努力を払い、すみやかにこれらを是正することが緊要である。

(未墾地等の売払いについて)

 土地改良法(昭和24年法律第195号)附則第15項の規定によれば、国が農地とするため買収した未墾地等を農地としないことを相当と認めたときは、その買収前の所有者に買収の対価に相当する額で売り払うことを原則としているが、国が当該土地に多額の有益費を投じているときは次の事例に示すような不合理な結果をきたすこともあるから、売払対価については検討のうえ適宜法令改正の要があると認められる。
 東京農地事務局で、昭和36年3月および5月、東亜港湾工業株式会社ほか4名に千葉県市原郡市原町所在の土地71,196坪を179,144円で売り払っているが、本件土地は、国が26年3月農地にする目的で前記5名から当時海水面(地目原野等)であったものを179,148円で買収し、これに4841万円程度を投じて造成した干拓地でその時価1億5700万円程度のものであるのに買収当時の価額で売り払ったものである。