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  • 昭和35年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項|
  • 第11 建設省|
  • 不当事項|
  • 工事

工事の施行にあたり計画当を得ないため不経済となっているもの


(272) 工事の施行にあたり計画当を得ないため不経済となっているもの

 (道路整備特別会計) (項)道路事業費 (項)臨時就労対策事業費

 (治水特別会計) (治水勘定) (項)伊勢湾高潮対策事業費

 中部地方建設局で、昭和35年7月から12月までの間に、随意契約により阪神築港株式会社に木曾川しゅんせつその1、その2およびその3工事を95,140,000円(ほかに官給電力料金19,096,098円)で請け負わせ木曾川関西本線鉄道橋上下流部付近の土砂1,020,000立米をしゅんせつしているが、土砂の配分計画およびその実施が適当でなく不必要な2段送砂を行なったため約1100万円が不経済となっているほか、しゅんせつ土砂の一部を付近の道路工事に使用したとすれば道路工事費約1400万円を節減することができたと認められるものがある。

 本件工事は、伊勢湾高潮対策事業の一部としてその1工事で35年7月から36年3月までの間に前記鉄道橋下流部から604,000立米をしゅんせつして鍋田川へ、その2工事で35年9月から36年1月までの間に上流部寄州から166,000立米をもより押付地区へ、また、その3工事で35年12月から36年3月までの間に上流部寄州から120,000立米は押付地区へ、130,000立米は鍋田川へ2段送砂すべく下流部寄州付近に送砂したものである。

 しかして、このような送砂をしたのは、伊勢湾高潮対策事業計画による鍋田川の締切りに伴い木曾川本川の加路戸堤の引堤および2,590,000立米の土砂のしゅんせつが必要となり、まず鉄道橋の上下流部の寄州1,400,000立米をしゅんせつし、この土砂を加路戸堤の引堤のため河川敷となる土地約23町歩の代替地を鍋田川の河積内に造成するのに充当する計画を立て送砂することとしたが、上流部のしゅんせつ土は右岸の築堤工事等に約280,000立米の土砂が必要となったので、その2工事の166,000立米およびその3工事の120,000立米はもより押付地区に送砂し、その3工事の残り130,000立米については、当初計画どおり鍋田川に送砂することとし、その際現地の橋りょうが支障となって大型しゅんせつ船を使用して直送することができないので、いったん下流部の寄州付近に送砂し、さらにこの大部分を含めその1工事で鍋田川に送砂したものである。

 しかしながら、当時すでに高潮対策事業計画によれば、鍋田川もより地区の本川河床をしゅんせつすることになっており、この土砂を直接送砂することにより、前記代替地造成に必要な土砂は十分にまかなうことができたのであるから、このように上流部から2段送砂までして鍋田川に送砂する必要は全くなかったものと認められ、これをもよりの押付地区に送砂したとすれば、そのしゅんせつ工事費の差額約1100万円を節減することができたものと認められる。

 一方、同地方建設局においては、35年7月から36年3月までの間に1級国道1号線名古屋四日市間のバイパス建設工事として宝神道路新設その1ほか4工事を工事費220,009,073円で施行していたものがあり、道路の盛土用として山土91,390立米を使用しているが、もし、その2工事により押付地区に送砂したものを道路工事に使用し、その3工事のうちの2段送砂した分を押付地区に送砂したとすれば、前記山土91,390立米のうち約35,000立米はこの土砂によることができたものと認められ、ひいては道路工事費において山土と本件土砂との採取運搬経費の差額約1400万円を節減することができたものと認められる。