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  • 昭和35年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項|
  • 第11 建設省|
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  • 補助金

工事の計画にあたり処置当を得ないもの


(275) 工事の計画にあたり処置当を得ないもの

 (一般会計) (組織)建設本省 (項)昭和35年発生河川等災害復旧事業費

 宮城県が施行した県道大高森台前線35年災害復旧工事は工事費6,274,433円(国庫負担金4,185,046円)で昭和35年5月チリ地震津波により被災した県道(以下「旧道路」という。)延長127メートルを復旧するもので、35年11月着工36年5月完成したものであるが、完成直後の7月地盤の支持力が道路の荷重に耐えられなかったため約60メートルにわたり路面が0.6メートルから1.3メートル陥没し横すべりをきたしている状況で復旧の目的を達していない。
 本件工事は、建設省の査定を受けてその計画高を旧道路より1.2メートルかさ上げして満潮位上2.7メートルとし、また、その構造も旧道路が簡易なから積工法であってその地盤に対する荷重が平米当り3.4トン程度であったのに比べてこれを著しく超過する5.1トン程度の波返し付きのコンクリート擁壁により施行したものであるが、本件工事箇所を含む付近一帯の地盤は支持力の弱い泥層であり、現に旧道路もこれを考慮して基礎捨石を敷き並べた上にから積石垣で築造したものであるのに、本件工事の計画にあたりこれらの事情を考慮することなく従来の基礎捨石が本件構造物を支持するのに十分であると誤認し、しかもその一部を取り除いた上に旧道路に比べで地盤に与える荷重が約5割程度増加される重量施設を築造したことなどのため前記のとおり陥没または横すべりしたもので、工事の計画および施行が当を得なかったものと認められる。