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  • 昭和35年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
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  • 工事

測量工事の予定価格の積算が過大なため工事費が高価と認められるもの


(331) 測量工事の予定価格の積算が過大なため工事費が高価と認められるもの

 (工事勘定) (項)東海道幹線増設費

 日本国有鉄道大阪幹線工事局で、昭和35年2月、指名競争後の随意契約によりパシフイックコンサルタンツ株式会社ほか2会社に幹線東京起点自408K000M至433K000M間測量その1ほか4件工事を総額22,667,071円(当初契約額19,914,000円)で請け負わせ施行しているが、予定価格の積算にあたり各種測量に要する工数について直接工数に対応する現地作業の共通工数等の配分が適切を欠いたため、工事費が約270万円高価となっていると認められる。

 本件工事は、滋賀県坂田郡伊吹村付近から大阪市東淀川区付近まで約90キロメートル間について東海道幹線の線路選定に必要な中心、縦断、横断の各測量と、線路と道路との交差する箇所等についてだけ行なう平面測量とを施行するもので、その工費は測量区間を市街地、都市周辺、平たん地、山間地、丘陵地に分類し、それぞれのキロメートル当り測量歩掛りを適用して積算しているもので、いま、パシフイックコンサルタンツ株式会社に5,583,942円(当初契約額4,675,000円)で請け負わせた幹線東京起点自408K000M至433K000M間測量その1についてみると、その予定価格5,588,942円のうち工費として都市周辺230,729円、平たん地1,236,825円、山間地135,040円、都市周辺および平たん地の平面測量94,238円計1,696,832円と積算している。

 しかして、例を都市周辺の分にとると、キロメートル当り工費算出の根拠となった測量歩掛りは、中心、縦断、平面、横断の各種測量をすべて実施した場合に139.9人を要するものとし、平面測量を実施しない場合はこれから平面測量に要する現地作業所要人工計49.9人だけを控除し、中心、縦断、横断測量に要する現地作業所要人工計50.6人に現地作業の共通および社内作業を行なう人工39.3人を加算して測量士A10.1人、同B41.4人、測量士補20.9人、人夫17.5人合計89.9人とし、これにそれぞれの単価を乗じ85,455円としているものである。

 しかしながら、前記現地作業の共通および社内作業を行なう測量士計39.3人(測量士A8.1人および同B31.2人)は中心、縦断、平面、横断の各種測量に必要な参考資料の調査または社内で製図等を行なう作業に従事するもので各種測量に共通したものであるから、平面測量を実施しない場合はこれに対応する工数は当然控除して計算すべきものであり、平面測量に対応する工数、測量士A4.0人、同B15.5人計19.5人を控除し測量士A6.1人、同B25.9人、測量士補20.9人、人夫17.5人計70.4人、62,393円と積算するのが相当と認められ、このほか平たん地、山間地の積算においても平面測量を実施しないものについては都市周辺の測量と同様の算定方式を採用しているので、平面測量に対応する現地作業共通および社内作業工数を控除し、なお、積算では一部区間実施する平面測量については現地作業工数だけを計上しているので、これに対応する現地作業共通および社内作業工数を加算して修正計算すると都市周辺168,461円、平たん地777,761円、山間地108,686円、都市局辺および平たん地の平面測量170,649円計1,225,557円、これに当局算定の諸経費等を含め工事費は4,665,784円となるものである。

 また、他の4件工事の工費についても同様の算定方式により算出しているので、これらについても同様の方法により工事費を修正計算すれば15,238,391円、これに前記引例工事の修正工事費を合わせると総額19,904,175円となり、本件工事費はこれに比べて約270万円高価となっていると認められる。