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  • 昭和35年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項|
  • 第3 日本電信電話公社|
  • 不当事頂|
  • 工事

契約の更改を怠ったなどのため工事費が過大に支払われた結果となっているもの


(334) 契約の更改を怠ったなどのため工事費が過大に支払われた結果となっているもの

 (建設勘定) (項)局舎建設費

 日本電信電話公社関東電気通信局で、昭和35年6月、指名競争契約により株式会社奥村組に双子無線中継所道路改修工事を工事費18,978,000円(当初契約額18,700,000円)で請け負わせ、12月完成しているが、工事の施行にあたり、当初の設計と異なって施行しているのに契約の更改を行なわなかったため、工事費約118万円が過大に支払われているほか、土留石垣が設計と相違しており、工事費約180万円が高価となっていると認められる。

 本件工事は、神奈川県足柄下郡双子山頂の双子無線中継所と、同山ろくを通る箱根越国道との間約1,430メートルの既設連絡道路を拡幅するとともに、こう配または屈曲度を緩和し、山留めおよび排水施設等を新設整備したもので、そのうち排水施設の側溝延長1,673メートルは当初設計において、側壁は控15センチメートルの雑割石を使用して3段に積み重ね、それに雑石入コンクリートを施行して厚さ30センチメートルのものとすることとし、また、土留石垣2,432平米の築石は半数以上現場以外から産出するくさび形の石材を使用することとしていたが、工事の施行途中、本件工事の監督業務を請け負った極東調査設計株式会社が、工事現場には岩石が多く、しかも、切取りで発生した岩石等の処分場所がなかったなどの理由から、側溝の側壁については控36センチメートル程度の雑割石を1段に並べたうえ30センチメートルから40センチメートルの厚さに雑石入コンクリートを施行し、また、土留石垣用築石はすべて現場採取のものを使用して施行するよう工事請負人に指示し実施させるとともに、当局に設計変更方を申し入れたものである。しかし、当局は事務連絡の不徹底のため設計変更を行なうことなく、しゅん功検査にあたっても当初の仕様書および設計図面どおり工事が完成したこととして検収を了し、契約金額の全額を支払ったため、当局の計算によっても諸経費を含め工事費約118万円相当額が過大に支払われた結果となっている。

 また、前記土留石垣2,432平米は、控30センチメートルまたは36センチメートルの石材を谷積みとし、胴込コンクリートは配合比1:3:6のもので控尻まで総量537立米を施行することとしていたが、積石を築き立てるにあたり前記極東調査設計株式会社の監督員が、本件工事請負人に公社の仕様書および図面と異なって胴飼および尻飼を使用させたため、胴込コンクリートは約322立米で足りる結果となり、諸経費を含め工事費約180万円相当額が高価となっていると認められる。