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  • 昭和35年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項

農地開発機械公団


第16 農地開発機械公団

 農地開発機械公団の昭和35事業年度における事業は、篠津泥炭地域開発および八郎潟干拓建設両国営工事に対する機械貸付け、根釧パイロットファーム開拓農業協同組合等から受託した機械開こん工事32地区、地方公共団体等から受託した農地災害復旧等の工事50地区等を11億5567万余円で施行している。

 35事業年度決算についてみると、事業損益は8451万余円の損失、事業外損益は880万余円の利益で、差引き7571万余円が当期純損失となっている。これを前事業年度の事業損失2288万余円、事業外利益433万余円、純損失1854万余円に比べると、事業損益において6163万余円の損失増加となったが、事業外損益において446万余円が利益増加となったため、差引き純損益において5716万余円が損失増加となっている。

 事業損失8451万余円は、国営工事に対する機械貸付けにおいて4387万余円の利益をあげたが、一方、その他一般に対する機械貸付けおよび受託工事において1億2839万余円の損失となったため生じたものである。国営工事に対する機械貸付けにおいて利益をあげたのは、国営工事に貸し付ける場合は機械の管理を国が行なうので公団としてはこれが管理費をほとんど必要としないのに、その他一般に対する機械貸付けおよび受託工事の場合とほぼ同率の割掛費を含めた貸付料金を徴収していることによるものであり、また、その他一般に対する貸付けおよび受託工事において多額の損失を生じたのは、機械貸付料金算定の要素である労務費、材料費、修理費等が31年8月料金制定以後相当値上りしているのに今日にいたるまで改正していないため、これに要する費用に比べて著しく低廉となっていること、受託工事の施行にあたり、下請業者の選定が適切でなかったこと、現地の調査が不十分であったことなどによるものと認められる。

 受託工事において損失を生ずる原因となったおもな事例をあげると次のとおりであるが、今後事業の運営にあたって改善を要するものと認められる。

 34年11月および35年1月、山梨県から受託額100,606,000円で受託した県営農地災害復旧工事三軒屋入戸野地区昭和34年度第1期および第2期工事において、53,716,134円の損失となっている。これは、31年8月制定の低廉な機械料金を改正しないで受託したため実際の機械関係経費が機械料金に比べて11,274,308円を多額に要し、また、同工事のうち人力施行部分は下請けに付したが工事途中で請負人に完成の能力がないものとして契約を解除したところ、すでに前金払または部分払をした金額が出来高に比べて4,307,051円過大に支払われた結果となったほか、契約解除後下請業者の債務を元請者としての責を負い負担したものなどを合わせ10,242,403円を多額に要することとなったことなどにより生じたものである。