(一般会計) | (組織)農林本省 | (項)土地改良事業費 (項)鉱害復旧事業費 (項)伊勢湾高潮対策事業費 (項)農業施設災害関連事業費 (項)農業施設災害復旧事業費 (項)離島振興事業費 (項)昭和36年発生農業施設災害関連事業費 (項)昭和36年発生農業施設災害復旧事業費 (項)昭和37年発生農業施設災害復旧事業費 (項)昭和37年発生農業施設災害関連事業費 |
(組織)林野庁 | (項)林道事業費 (項)山林施設災害復旧事業費 (項)北海道林道事業費 (項)昭和36年発生山林施設災害復旧事業費 (項)昭和37年発生山林施設災害復旧事業費 | |
(組織)水産庁 | (項)漁港施設費 (項)漁港施設災害関連事業費 (項)漁港施設災害復旧事業費 (項)北海道漁港施設費 (項)離島振興事業費 (項)昭和36年発生漁港施設災害復旧事業費 |
地方公共団体、土地改良区、森林組合等が施行した土地改良、治山施設、林道開設、漁港修築および災害復旧等の工事に対する国庫補助金または国庫負担金(以下「国庫補助金」という。)は、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和25年法律第169号)等の根拠法規に基づいて交付されるものである。昭和38年中、その経理および工事施行の状況について、全国の工事現場44,392箇所のうち、北海道ほか36都県につきその8.5%に相当する3,796箇所(工事費22,471,373,162円、国庫補助金13,912,037,484円)を実地に検査したところ、これら施設のコンクリート工事において、粗悪な骨材を使用したり、配合の悪い粗悪なもので施行したりしている事例が依然として多く見受けられるほか、農業施設においては、頭首工の工事で玉石を中詰めとして表面を粗悪なコンクリートで被覆していたためすでに漏水しているもの、水路護岸等の石垣工事で、石積みの施行が粗雑となっていたり、胴込および裏込のコンクリートがほとんど施行されていなかったり、その量が設計に比べて不足したりしているものなどがあり、治山施設および林道施設においては、玉石コンクリートえん堤および路側擁壁の工事で、現場付近で採取した粗石または砂利、砂等を中詰めとして表面を粗悪なコンクリートで被覆しているもの、設計に比べて玉石を多量に使用しているものなどがあり、漁港施設においては、防波堤等の根固め捨石および被覆石が設計量に比べて不足していたり、その張立てが粗雑となっていたりしているものなどがあり、国庫補助金を除外すべきことの判明したもので除外すべき額1工事10万円以上のものが北海道ほか32都県において296工事159,980,085円となっていて、前年度に比べて67工事41,801,883円増加しており、このうち国庫補助金を除外すべき額1工事20万円以上のものをあげると別表第2のとおり234件150,930,643円である。
しかして、この種不当な事例が多数に上っているのは、昭和36年度決算検査報告に記述したように、事業主体における工事の実施体制が不十分なことおよび関係当局における指導、検査等が十分に行なわれていないことによるものと認められるが、とくに、山間へき地で施行されるものが多い治山えん堤工事はすべて都道府県営で施行するものであるのに、工事の監督および検査が十分でなかったため不当な事例が多数見受けられる状況である。なかでも、奈良県吉野郡東吉野村杉谷地内崩壊地復旧事業(参照) は、コンクリートえん堤3箇所を新設するものであるが、えん体内部は配合の悪い粗悪なコンクリートで層間に砂利、砂を充てんして層状に打設しこれをコンクリートで被覆したり、配合の悪い粗悪なコンクリートに岩くずを多量に投入して施行したりしているため、コンクリートえん堤としての強度が著しく低下している手抜き工事がそのまま見のがされているものであって、治山えん堤工事については施行中の監督を一層厳にするとともに検査の徹底を期する要があるものと認められる。