(郵政事業特別会計)
昭和41年度歳入歳出決算額は、歳入4365億8034万余円、歳出4310億9494万余円で、歳入決算額のうちおもなものは受託業務収入1667億8570万余円、業務収入1623億6645万余円、歳出決算額のうちおもなものは業務費3219億8402万余円である。
41年度の損益は、受託業務収入1667億8570万余円、郵便業務収入1556億3893万余円等の収益3355億8027万余円、郵便費1214億1657万余円、総係費695億1499万余円、為替貯金費521億5592万余円、保険年金費433億1886万余円等の損失3332億5661万余円で、差引き23億2366万余円の利益を生じたが、これは翌年度において積立金として積み立てることとしている。
しかして、41年度は前年度が44億3006万余円の欠損であったのに比べると事業収支が好転しているが、これは給与改定等により人件費などが467億9321万余円増加したにもかかわらず、郵便料金の値上げにより切手収入等の郵便業務収入などが615億3251万余円増加したことによるものである。
なお、41年度で固定資産の再評価を実施した結果、再評価の対象となった固定資産価格は実施前が1514億0832万余円であったのに対し2626億1628万余円となっている。しかして減価償却にあたっては普通償却費のほかに再評価に伴う減価償却修正額として68億7564万余円を損失に計上している。
検査の結果、別項記載のとおり、職員の不正行為により国に損害を与えたもの
があるほか、次のとおり留意を要すると認められるものがある。
郵政省では、昭和41年6月、郵便法(昭和22年法律第165号)の一部改正により従来の簡易てがみに代えてその用途、規格がほとんど同一である郵便書簡を新たに発行することとし、郵便書簡1億枚(代価221,600,000円)を調達している。しかして、その調達にあたっては、従来の簡易てがみの売りさばき実績が年間250万枚程度であるのに、簡易てがみの売価が書状1通分の料金に調製費2円を加えた12円であったのに対し、本件書簡は調製費2円を加えないで書状1通分の料金と同額の15円を売価としたので相当の需要があるものとして年間需要数を5000万枚、そのほかに売りさばき操作分を5000万枚計1億枚必要と見込んで調達したが、その売りさばき実績をみると、41年度(7月から年度末まで)は約760万枚、42年度(4月から8月まで)は約272万枚にすぎず、多量の在庫を生じている状況であるので、今後、新規物品の調達にあたっては、慎重を期して過大調達とならないよう配慮するとともに、他方、本品の売りさばきについて周知、宣伝を図るなど適切な対策を講ずる要があると認められる。
(郵政事業特別会計)
(郵便貯金特別会計)
(簡易生命保険及郵便年金特別会計)
名古屋中ほか41郵便局で、関係職員により繰替払現金をほしいままに領得されたものが1事項5万円以上のもので43事項27,179,265円(うち昭和42年9月末現在補てんされた額14,499,534円)ある。
これらは、上記各郵便局において、
(ア) 貯金、保険担当の外務員が郵便貯金の集金および簡易生命保険保険料の収納事務等に従事中、定額郵便貯金預入金、簡易生命保険保険料を受領しながら受入処理をしないで、または局外で払いもどしを依頼された定額郵便貯金払いもどし金を預金者に交付しないで領得したもの
(イ) 窓口事務担当の内務員が現金受払事務に従事中、自己の保管している資金を領得し、または通常郵便貯金払いもどし金受領証を偽造して資金を領得したもの
(ウ) 特定郵便局長が分任繰替払等出納官吏として勤務中、定額郵便貯金預入金もしくは切手類売りさばき代金を受領しながら受入処理をしないで領得し、または自己の保管している資金を領得したもの
などである。
これら不正行為に対しては当局においてもその防止に努めてはいるが、なお上記のような事例、とくに不正行為期間が長期にわたるものおよび職員を指導監督する地位にある特定郵便局長の不正行為が跡を絶たないのは遺憾である。
前記43事項27,179,265円のうち1事項50万円以上のもので42年9月末現在補てん済みとなっていないものをあげると次表のとおり5件15,626,748円である。
庁名 | 不正行為をした職員 | 不正行為期間 | 不正行為金額 | 補てんされた額 (42.9.30現在) |
|
年 月 | 円 | 円 | |||
(300) | 名古屋郵政局管内 | ||||
名古屋中郵便局 | 出納員 郵政事務官 足立某 |
39.6から 41.7まで |
5,295,515 | 0 | |
同人が貯金課外務員として郵便貯金の募集および集金事務に従事中、定額郵便貯金等の預入金を受領しながら受入手続をしないで、または局外で払いもどしを依頼された定額郵便貯金払いもどし金を預金者に交付しないなどの方法により領得したものである。 | |||||
(301) | 大阪郵政局管内 | ||||
枚岡郵便局 | 出納員 郵政事務官 鍛治某 |
41.2から 42.6まで |
738,336 | 135,518 | |
同人が貯金課外務員として郵便貯金の募集および集金事務に従事中、積立郵便貯金預入金を受領しながら受入手続をしないなどの方法により領得したものである。 | |||||
(302) | 大阪郵政局管内 | ||||
尼崎守部郵便局 | 分任繰替払等出納官吏 特定郵便局長 笹尾某 |
41.4から 〃12まで |
1,462,495 | 588,571 | |
同人が特定郵便局長として勤務中、自己の保管している資金を領得し、または通常郵便貯金預入金を受領しながら預入報告をしないなどの方法により領得したものである。 | |||||
(303) | 同 | ||||
京都島原郵便局 | 分任繰替払等出納官吏 特定郵便局長 山内某 |
41.2から 42.1まで |
6,640,402 | 1,679,984 | |
同人が特定郵便局長として勤務中、定額郵便貯金預入金を受領しながら預入報告をしないで領得したものである。 | |||||
(304) | 広島郵政局管内 | ||||
有保郵便局 | 郵政事務官 出口某 |
40.12から 41.7まで |
1,490,000 | 761,096 | |
同人が窓口で現金受払事務に従事中、自己の保管している資金を領得したものである。 | |||||
計 | 15,626,748 | 3,165,169 |