日本鉄道建設公団の昭和41事業年度末の資本金は451億5356万余円(政府出資60億円、日本国有鉄道出資391億5356万余円(現物出資171億9795万余円を含む。))で、前事業年度末に比べて110億円増加している。
41事業年度において、鉄道新線建設を実施したものは、前事業年度から継続の久慈線ほか62線の工事および津軽海峡線ほか2線の調査であり、その決算額は予算現額350億6230万余円に対し298億0813万余円で、52億5416万余円を翌事業年度に繰り越している。このように繰越額を生じたのは武蔵野線、湖西線等で設計協議および用地買収がはかどらなったことなどによるものである。 41事業年度中に日本国有鉄道に貸し付けた鉄道施設は落合線、神岡線の全区間および狩勝線、生橋線の一部である。
上記鉄道新線建設工事のうち久慈線ほか46線(総延長2,059キロメートル)は、後進地域の開発等を目的とし、50事業年度末完成を目途として総工事費3303億余円で建設工事を実施することとしているが、その施行状況についてみると、建設工事の主体である路盤工事に着手した線は、毎事業年度7線程度増加して41事業年度末現在では興浜線ほか29線(総延長1,196キロメートル)となっている。しかして、これらの建設に要した工事費は213億余円、完成した路盤の延長は89キロメートル、進ちょく率は8%程度であり、また、根北線ほか14線については、測量、設計を継続施行している状況である。
41事業年度の所要資金460億6898万余円については、前事業年度からの繰越金92億9755万余円、政府出資金35億円、日本国有鉄道出資金75億円、資金運用部資金の借入金65億円、債券発行による収入金178億4280万円等を充当している。
41事業年度の損益は、鉄道貸付収入3億1107万余円、政府からの補給金4億1454万余円および補助金1億8141万余円等の収益13億3659万余円に対し事業資産減価償却費3億1552万余円、鉄道建設債券諸費8億2857万余円等の費用13億2796万余円で、差引き863万余円の利益となっている。なお、上記補給金4億1454万余円は債券の支払利子の一部について、また、補助金1億8141万余円は日本国有鉄道に無償で貸し付けた鉄道施設の減価償却費相当額について政府の一般会計から交付を受けたものである。
検査の結果、次のとおり留意を要すると認められるものがある。
日本鉄道建設公団東京支社が施行している武蔵野線第三北小金高架橋その他工事ほか14件工事で、保線従事員の転落事故防止、市街地における騒音対策等のため、高架橋等に鉄筋コンクリート構造の高欄延長8,346メートルをメートル当り6,090円から7,590円工事費計5553万余円で施行しているが、日本国有鉄道が中央本線等で施行している高架橋等の高欄は設計条件が同一であるのにコンクリートブロック積み構造であり、公団設計の高欄に比べて20%程度低価なものとなっているので、コンクリートブロック積み構造を採用して経済的な設計を図るよう検討の要があると認められる。