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  • 昭和41年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項

畜産振興事業団


第24 畜産振興事業団

 畜産振興事業団の昭和41事業年度末の資本金は30億6120万円(うち政府出資27億円)である。

(事業概要について)

(1) 畜産物の価格安定に関する業務

 指定食肉(豚枝肉)の買入れの業務においては、年度当初の買入計画は13,992トン42億8389万余円であったが、41年度中、中央卸売市場における売買相場が農林大臣の定めた安定基準価格を下回るすう勢にあったので32,501トンを99億3828万余円で買い入れたが、指定食肉の相場は年間を通じ安定基準価格付近で低調に推移し市況の回復をみるにはいたらなかった。
 しかして、買い入れた枝肉は大部分を部分肉に委託加工のうえ冷蔵倉庫等に保管しており、その41事業年度末における保管量は前事業年度買入れ分を合わせ部分肉22,703トン、枝肉426トン、たな卸資産価額は保管費および金利計10億5106万余円を含め115億5931万余円となっている。
 指定乳製品等の輸入および売渡しの業務においては、41年度中指定乳製品の価格が農林大臣の定めた安定指標価格をこえて騰貴する状況であったので、脱脂粉乳15,750トン、バター9,139トン等を80億2903万余円で輸入し、脱脂粉乳15,133トン、バター9,020トン等を127億9863万余円で売り渡したが、同年度中の指定乳製品の価格は安定指標価格を上回る価格で推移した。
 輸入牛肉の買入れおよび売渡しの業務においては、41年9月から12月までの間の牛肉需要期に売り渡すことを目標としてオーストラリア産、ニュージーランド産の牛肉4,987トンを20億3263万余円で買い入れたが、年度中に売り渡したのはうち1,985トンにすぎなかった。

(2) その他の業務

 債務保証業務においては、事業団に出資している乳業者の債務を保証した額は44億8796万余円、償還等により減少した保証額は47億4825万余円で、年度末の保証残高は16億0745万余円となっている。
 助成業務においては、学校給食用牛乳供給事業に対し48億7510万余円、食肉の農村消費促進の事業等に対し4858万余円を補助したほか社団法人全国鶏卵価格安定基金に2億円を出資した。41事業年度末の出資先は19法人で、出資総額は11億7659万円となっている。
 加工原料乳生産者補給交付金の交付業務においては、指定生乳生産者団体に対し、加工原料乳737,600トンについての生産者補給金に充てるため38億5026万余円を交付した。

(資金について)

 41事業年度の所要資金390億5388万余円については、前事業年度からの繰越金40億6046万余円、学校給食用牛乳供給事業補助の財源に充てるための政府交付金50億円、加工原料乳生産者補給交付金の交付業務の財源に充てるための政府交付金30億2557万余円、農林中央金庫からの借入金122億4950万円、輸入乳製品等の売渡収入134億8027万余円等を充当している。

(損益について)

 41事業年度の損益は、利益363億3813万余円、損失316億8742万余円で、差引き46億5071万余円の当期純益金を生じており、これを勘定別にみると、一般勘定では3億2652万余円、輸入牛肉勘定では1億0459万余円、債務保証勘定では367万余円、補給金等勘定では42億1591万余円の純益金を生じ、助成勘定では利益損失同額となっている。なお、当期純益金については、8367万余円を助成勘定に繰り入れ、45億6704万余円を積立金として積み立てた。

 検査の結果、次のとおり留意を要すると認められるものがある。

(学校給食用牛乳供給事業に対する補助について)

 畜産振興事業団で、昭和41事業年度中、学校給食用牛乳供給事業を行なう919業者に対し、学校給食用として供給した国内産の生乳または牛乳の量に応じて経費の一部を補助するため48億7510万余円を都道府県を通じて交付している。しかして、本院において45供給事業者の実情を調査した結果によれば、還元乳相当分またはフルーツ牛乳等本制度の本旨からみて補助の対象としては適当でないと認められるものに対し補助金を交付しているものが12業者あったが、今後、供給事業者等に対し制度の趣旨を周知徹底させるとともに十分な指導に努めるよう配慮の要があると認められる。