(昭和44年11月25日付け44検第268号 文部大臣あて)
文部省所轄の国立大学のうち、いわゆる大学紛争に伴い、国有財産および物品の亡失または損傷の事態を生じ多額の損害が発生しているものが少なくない。しかして、昭和44年3月末現在の損害額は、学生等により占拠または封鎖されているため損害の確認ができないものを除き、東京ほか17大学で国有財産8144万余円、物品7912万
余円計1億6056万余円に上っている状況である。
このような事態を生じているのは、おもに一部の学生等の不法行為によるものではあるが、他方、上記の施設の封鎖、占拠等の事態に対し、国有財産事務分掌者、物品管理職員等がその職責を遂行するため適時適切な処置を講ずることが困難であったこと等がその一因になっていると認められる。
ついては、今後、国有財産および物品の管理の万全を期するため適切な指導監督をするなどして、国有財産事務分掌者、物品管理職員等が事態に対応して適時適切な処置を講ずることができるようにし、この種事態の発生を防止する要があると認められる。
また、損害についての加害者に対する求償に関する事務処理についても、その促進について適切な処置を講ずる要があると認められる。