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  • 昭和50年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 所管別の事項|
  • 第5 農林省|
  • 特に掲記を要すると認めた事項

食糧管理特別会計の損益について


(1) 食糧管理特別会計の損益について

 食糧管理特別会計は、国内米管理、国内麦管理、輸入食糧管理、農産物等安定、輸入飼料、業務及び調整の各勘定に区分して経理されているが、昭和50年度の損益についてみると、総額8595億6563万余円の損失を生じており、前年度損失額8456億1588万余円に比べて139億4974万余円の増加となっている。

 しかして、上記各勘定の損益についてみると次のとおりである。

1 国内米管理勘定

 国内米の買入れは634万余t1兆6431億3892万余円(1t当たり平均259,093円)、売上げは主食用491万余t8858億5964万余円(1t当たり平均180,378円、うち50年8月以前167,159円、9月以降196,298円)、工業用原材料その他用26万余t264億0485万余円(1t当たり平均98,928円)計517万余t9122億6450万余円(1t当たり平均176,179円)で、売買損益は3881億2635万余円の損失となっている。この売買損失に集荷、運搬、保管等取扱いに要した経費及び金利等2136億4477万余円、自主流通米251万余tの流通促進のための奨励費等の経費1068億5752万余円を合わせ、この勘定の損失額は7086億2866万余円となっている。

 損失額が前年度の6075億9711万余円に比べて1010億3154万余円の増加となっているのは、50年産米の買入れ価格が14.4%、売渡価格が50年9月から19.0%それぞれ引き上げられ、売買価格差は前年度と同程度であったが、買入れ数量の増加、国庫余裕金繰替使用額の減少による食糧証券の発行増等に伴い年度末在庫の評価損、金利等が増加したことなどによるものである。
 なお、50年度末在庫は前年度末に比べて117万余t増加して574万余t(50年産米534万余t、49年以前産米40万余t)となっており、このうちにはカドミウムの環境汚染に係る米8万余t(参照) など食糧として売渡しの困難なものが含まれている。

2 国内麦管理勘定

 国内麦類の取扱数量は買入れ、売上げとも23万余tで、買入れ高は236億6975万余円(1t当たり平均大麦92,028円、はだか麦106,147円、小麦102,040円)、売上高は98億8711万余円(1t当たり平均大麦34,596円、はだか麦39,608円、小麦43,289円)、売買損失は132億8386万余円となっている。この売買損失に取扱経費等29億0613万余円を合わせ、この勘定の損失額は161億9000万余円となっている。
 損失額が前年度の131億8131万余円に比べて30億0868万余円増加しているのは売買価格差、売上数量とも前年度より増加したことなどによるものである。

3 輸入食糧管理勘定

 外国麦の買入れは476万余t2905億4038万余円(1t当たり平均61,029円)、売上げは467万余t2178億0159万余円(1t当たり平均46,634円)、売買損失は626億9184万余円となっており、また、外国米の買入れは2万余t33億2219万余円(1t当たり平均129,399円)、売上げは1万余t17億0561万余円(1t当たり平均130,259円)、売買利益7億3868万余円となっていて、差引き売買損失は619億5315万余円である。この売買損失に取扱経費等219億8633万余円を合わせ、この勘定の損失額は839億3949万余円となっている。
 損失額が前年度の1451億4499万余円に比べて612億0550万余円減少しているのは、主として国際需給の緩和によって市況が平静化し、外国麦の買入れ価格が前年度に比べて14.8%低下したことによるものである。

4 輸入飼料勘定

 飼料用外国麦の買入れは253万余t1363億7467万余円(1t当たり平均53,840円)、売上げは233万余t820億8179万余円(1t当たり平均35,138円)、売買損失は446億1349万余円となっている。この売買損失に取扱経費等61億3212万余円を合わせ、この勘定の損失額は507億4561万余円となっている。

 損失額が前年度の805億3950万余円に比べて297億9388万余円減少しているのは、外国麦の買入れ価格が低下したことなどによるものである。
 なお、農産物等安定勘定においては、でん粉の価格を買い支えるため3万余t40億3782万余円(1t当たり平均118,100円)の買入れに要した取扱経費6186万余円が損失となっている。

 このように、本特別会計においては、農産物等安定勘定を除き各勘定とも売買価格差に起因して損失を計上しており、これを前年度と対比してみると、国内米管理勘定では国内米の売買価格差が前年度とほぼ同じ水準を維持したものの損失が増加しているが、輸入食糧管理、輸入飼料両勘定では国際穀物市況が平静化し外国麦の価格が低下してきたことにより損失が減少したことに支えられて、この特別会計の損失総額は前年度と比べて小幅の増加にとどまった。

 しかして、上記の損失額を補てんするため一般会計から繰入れを受けた調整資金等を充てた額は、過剰米処分による繰越損失の当年度補てん分を合わせ9118億1140万余円に上っている。