日本国有鉄道は、昭和39年度以来毎年度損失が発生しており、50年度末の繰越欠損金が資本金及び資本積立金の合計額を大幅に上回る状況であったので、その財政再建を図るため、51年11月、日本国有鉄道法(昭和23年法律第256号)が改正され、前年度末の長期負債のうち2兆5404億0500万円を特定債務として特定債務整理特別勘定に移し、一般会計から無利子の借入金(51年度分590億8300万円)及び利子補給金(51年度分1849億9298万余円)を受け入れ、これにより20年元利均等償還を行うなどの措置が講ぜられるとともに、同月実質37%の増収を見込んだ運賃・料金改定が当初の予定より5箇月遅れて実施された。また、日本国有鉄道再建対策要綱(50年12月閣議了解)において、51年度及び52年度の2年間で図ることとしていた収支均衡の回復は、52年1月、同要綱の一部修正により、おおむね54年度を目標年度とすることになった。
しかして、51年度一般勘定の損益についてみると、収入は2兆0052億1746万余円、経費は2兆9192億6796万余円で、9140億5050万余円の純損失を生じている。
これを前年度に比べると、収入は前年度の1兆8332億0843万余円に対して1720億0902万余円の伸びにとどまったのに、経費は前年度の2兆7479億1159万余円に対して1713億5636万余円増加したため、前年とほぼ同程度の純損失となった。
収入では、旅客収入1兆5290億2423万余円、貨物収入2779億2806万余円が主なものであり、この両者で収入の90.1%を占めている。しかして、運賃・料金改定があったものの、景気の停滞等により、前年度に比べて輸送量が旅客では46億人キロ(2.1%)、貨物では10億トンキロ(2.3%)減少したため、旅客収入は2138億9886万余円(16.2%)、貨物収入は363億8134万余円(15.0%)の増加にとどまった。また、工事費補助金等の助成金の受入額は1147億7700万円で、前記のように特定債務についての助成金が特定債務整理特別勘定において経理されることとなったため、前年度に比べて830億1970万余円減少している。
これに対し、経費では、人件費1兆3968億1098万余円、修繕費5089億9204万余円、利子及び債務取扱諸費3160億3440万余円、減価償却費2563億8622万余円、業務費2382億9929万余円が主なものである。人件費は給与改定等により前年度に比べて1305億0693万余円増加しているが、これに損益計算上修繕費等に計上されている車両工場等の人件費を加えた人件費総額は1兆6796億8930万余円で前年度に比べて1571億0960万余円増加している。 なお、51年度決算とともに公表された客貨別経済計算の結果によれば、50年度の営業係数は鉄道旅客部門では127(うち新幹線では62)、鉄道貨物部門では312となっていて、51年度においても鉄道貨物部門の損失が純損失発生の主な要因になっていると認められる。
このように日本国有鉄道の経営成績は前記の運賃・料金改定、財政措置等の実施にもかかわらず一般勘定で多額の純損失を生じており、52年度における収支の状況をみても、前記目標年度に収支均衡の回復を達成することは困難な状況にあると認められる。