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  • 昭和52年度|
  • 第3章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第1 総理府|
  • (防衛庁)|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

P−2J航空機用燃料セルの仕様について


(1) P-2J航空機用燃料セルの仕様について

 海上自衛隊では、対潜水艦哨戒用としてP-2J航空機を昭和44年度以降毎年継続して取得し逐次部隊に配備しており、その配備数は52年度末現在76機となっている。

 しかして、調達実施本部が海上幕僚監部の要求に基づき、49、50両年度に、納期をそれぞれ51、52年度として調達したP-2J航空機計14機の製造請負契約(契約価額153億0604万円)について検査したところ、次のとおり、P-2J航空機にとう載している燃料タンクの構成品である燃料セル(この価額相当額4億4231万余円)の仕様の検討が適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、P-2J航空機の主翼の内部に装着している燃料タンクは相互に連結された複数の燃料セルで構成されていて、そのうち半数のものについては横浜ゴム株式会社が製造したゴム引きナイロン製の燃料セル(以下「在来型セル」という。)を使用していた。

 しかして、この在来型セルと同じ素材を用いた燃料セルは、海上自衛隊が同じく対潜水艦哨戒用として配備しているPS-1航空機及び救難用のUS-1航空機(以下「PS-1航空機等」という。)の燃料タンクにも使用されていたが、横浜ゴム株式会社が軽量なゴム引き特殊ナイロンを開発していたので、PS-1航空機等の機体重量の軽減を図る目的で、このナイロンを使用した燃料セルの採用の当否について検討したところ、この燃料セルは在来型セルと同じ素材を用いた燃料セルに比べて軽量であるほか強度も同等以上で、価格も低価であったことから、49年度からこの燃料セルを使用していた。

 このようなことからみて、PS-1航空機等とほぼ同一条件で飛行するP-2J航空機においても上記在来型セルに代えて、軽量なゴム引き特殊ナイロンを用いた燃料セル(以下「軽量型セル」という。)を採用して経費の節減を図る要があると認められた。
 いま、仮に前記P-2J航空機14機について軽量型セルを採用したとすれば契約価額を約2000万円程度低減できたと認められ、また、今後調達することが見込まれいる交換用セルについても調達額を相当額低減できると認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、海上幕僚監部では、直ちにP-2J航空機の燃料タンクに軽量型セルを使用することの当否を検討するため試験等を実施し、52年12月にこれを採用することとする処置を講じた。

(参考図) P-2J航空機の燃料セル配置図

(参考図)P-2J航空機の燃料セル配置図