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  • 昭和52年度|
  • 第3章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第1 総理府|
  • (防衛庁)|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

C−1航空機用メインタイヤの所要量の算定について


(2) C - 1航空機用メインタイヤの所要量の算定について

 航空幕僚監部の要求に基づき、調達実施本部で昭和52年度に購入契約を締結したC-1航空機用タイヤ400本(価額27,672,000円)について検査したところ、次のとおり、航空自衛隊における所要量の算定が適切でないと認められる点が見受けられた。

 上記タイヤの調達要求については、「航空自衛隊物品管理補給手続」(昭和43年JAFR125)により、過去の実績飛行時間及び消費実績に基づき飛行時間1,000時間当たりに換算した消費数量並びに在庫量等を算定要素として、航空自衛隊においてその所要量を算定したうえ、調達実施本部に調達を要求しており、その所要量の算定に当たっては、配備機数28機を対象に、算定要素のうちの前記換算消費数量として48年度から51年度までの数量を採用し、53年度中に不足する計算となった400本を所要量としていた。

 しかし、上記の所要量の算定に使用した48年度の換算消費数量は、C-1航空機が輸送航空団に配備された初年度の初期の運用試験等に伴う異常な損耗量が含まれた消費実績を基に計算されていた。すなわち、48年度は4機で45本を消費しており、その実績飛行時間は616時間であるから、これを1,000時間当たりに換算すると73本となるのに対して、49年度は7機で74本、その実績飛行時間は1,721時間であるから、1,000時間当たりの換算消費数量は43本、このようにして50年度は15機で112本、実績飛行時間4,656時間及び換算消費数量24本、51年度は21機で177本、実績飛行時間7,698時間及び換算消費数量23本となっており、49年度以降は、実績飛行時間を基とした1,000時間当たりの換算消費数量が逐年減少している状況であった。また、各年度末の在庫量についてみると、購入の際の所要量の算定に当たり、上記のように48年度の異常値を算定要素に含めたため、各年度の購入数量が過大となり、その結果、50年度末では827本、51年度末では905本といずれも消費実績に比べて著しく多量となっていた。

 しかるに、本件52年度分の購入に際しても依然として48年度の異常値を算定要素に含めて所要量を算定したのは適切とは認められない。ちなみに、52年度末在庫量は848本で、同年度中の消費実績198本に比べて著しく多量となっている。

 したがって、本件購入の際の所要量の算定に当たっては、49年度以降の実績飛行時間及び消費実績に基づく換算消費数量を採用して前記補給手続に基づき所要量を算定したとすれば、所要量は62本となるので、当局が50本単位で購入数量を取りまとめていることから、これを100本としたとしても、52年度契約分400本のうちの300本20,754,000円は購入する要はなかったと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、航空自衛隊では、53年12月に「航空自衛隊物品管理補給手続」を改定し、異常値と認められる消費実績については、これを算定要素から除外して所要量を算定することとする処置を講ずるとともに、本件タイヤの53年度分の調達を取りやめた。