会計名及び科目 | 一般会計 (組織)国土庁 (項)小笠原諸島復興事業費 |
部局等の名称 | 国土庁 |
補助の根拠 | 小笠原諸島復興特別措置法(昭和44年法律第79号) |
事業主体 | 東京都、小笠原村 |
補助事業 | 東京都小笠原村母島大谷川砂防えん堤新設等3事業 |
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 466,113,333円 |
上記の3補助事業において、コンクリート費の積算が適切でなく、工事費の積算が過大となったため、国庫補助金22,334,400円が不当と認められる。これを事業別に掲げると、別表 のとおりである。
(説明)
これら各事業は、小笠原諸島の母島に砂防えん堤及び小中学校体育館、父島に小中学校体育館を新設する工事で、いずれも多量のコンクリートを使用して施行するものである。
しかして、東京都では、小笠原諸島の本土復帰以後、旧島民の帰島の促進と定着を図るため、父島及び母島において復興事業として交通、産業基盤、文教、防災各施設等の整備を積極的に進めていて、毎年度多数の工事が施行されているので、今日では、その工事を請け負った建設業者によって設置されたコンクリートプラント(注1)
が島内に散在しており、これらのコンクリートプラントは、それを所有している建設業者が施工する工事に使用する生コンクリートを製造することはもとより、コンクリートプラントを所有していない他の建設業者が施工する工事に使用する生コンクリートの供給にも使用されている。また、その生コンクリート製造の材料調達の状況についてみると、セメントについては袋詰めのものを東京から貨客船によって(袋詰めの場合には重量当たりの定額運賃が適用される。)父島又は父島経由母島に、砂及び砂利については最寄りの採取地である静岡県からグラブ付自航運搬船(注2)
によって父島又は母島にそれぞれ海上輸送しているのが実情である。
そして、東京都及び小笠原村では、本件各事業の施行に当たって競争に参加させる建設業者として上記のようなコンクリートプラントを所有している業者をも指名しているにもかかわらず、また、上記のような生コンクリートの製造及び材料調達の実態が経済的な方法であるにもかかわらず、このような実態と異なる方法でコンクリート工事を施工すると想定してコンクリート費を算定しているため、積算額が過大となり、ひいては工事費が割高なものとなっている。
(注1) コンクリートプラント コンクリートの材料(通常の場合、セメント、砂、砂利及び水)の貯蔵設備、計量装置、混和装置を組合せ設置した生コンクリートを製造する設備
(注2) グラブ付自航運搬船 船首に装置した360゜旋回可能の起重機の先端からつるしたバケットによって土砂の積込み、取卸しを行うことができ、土砂積載用の船倉と航行用の動力設備をもっている運搬船
都道府県名 | 補助事業 | 事業主体 | 事業費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認めた事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(2) | 東京都 | 小笠原村母島大谷川砂防えん堤新設 | 東京都 | 52,850 | 35,233 | 2,154 | 1,436 | 工事費の積算過大 |
この工事は、荒廃した大谷川の土砂流失を防止するため、48年度から継続して施工していた砂防えん堤1基(完成堤体コンクリート総量2,147m3 )のうち805m3 を施工するもので、工事費の積算についてみると、コンクリート費については、容量0.2m3 のコンクリートミキサーを使用して打設現場付近で練り混ぜすることとし、1m3 当たり30,801円又は31,445円(セメントの配合量の差異による。)とし、コンクリート総量805m3 分で25,292,617円と積算していた。しかし、前記のような施工の実態に即してこれを修正計算すると、1m3 当たり28,050円又は28,694円、805m3 分で23,078,062円となり、工事費は50,696,000円となって、本件工事費はこれに比べて2,154,000円割高となっていると認められる。 | ||||||||
(3) | 東京都 | 小笠原村父島小中学校体育館新築 | 小笠原村 | 250,000 | 200,000 | 8,564 | 6,851 | 工事費の積算過大 |
この工事は、父島小中学校の体育館1棟807m2 を新築したもので、工事費の積算についてみると、コンクリート費については、東京都が定めた「小笠原建築工事単価基準」により、東京都区内で市販されている生コンクリート価格に、海上輸送費として東京から父島までの貨客船による貨物運賃28,871円(定額運賃を容積割増率0.7で除して算出)を加算して1m3 当たり37,771円又は37,971円(セメントの配合量の差異による。)とし、コンクリート総量842m3 分で31,982,249円と積算していた。しかし、前記のような材料輸送及び施工の実態に即してこれを修正計算すると、1m3 当たり26,218円又は26,787円、842m3 分で22,552,508円となり、工事費は241,436,000円となって、本件工事費はこれに比べて8,564,000円割高となっていると認められる。 | ||||||||
(4) | 東京都 | 小笠原村母島小中学校体育館新築 | 小笠原村 | 292,132 | 230,880 | 17,559 | 14,047 | 工事費の積算過大 |
この工事は、母島小中学校の体育館1棟839m2 を新築したもので、工事費の積算についてみると、コンクリート費については、東京都が定めた「小笠原建築工事単価基準」により、東京都区内で市販されている生コンクリート価格に、海上輸送費として東京から父島、更に父島から母島までの貨客船による貨物運賃46,328円(定額運賃を容積割増率0.7で除して算出)を加算して1m3 当たり54,828円から55,028円(セメントの配合量の差異による。)とし、コンクリート総量767m3 分で、42,227,848円と積算していた。しかし、前記のような材料輸送及び施工の実態に即してこれを修正計算すると、1m3 当たり28,896円から29,588円、767m3 分で22,637,099円となり、工事費は274,573,000円となって、本件工事費はこれに比べて17,559,000円割高となっていると認められる。 | ||||||||
計 | 594,982 | 466,113 | 28,277 | 22,334 |