会計名 | 労働保険特別会計 |
部局等の名称 | 大田労働基準監督署 |
不正行為期間 | 昭和52年3月〜52年11月 |
損害 | 歳出金 15,993,374円 |
本件は、上記部局において、業務課所属の労働事務官安井某により歳出金を領得されたため、上記の損害を生じたものである。
(説明)
労働省では、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)に基づき、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、併せて、被災労働者等の福祉の増進を図るための労働福祉事業を行っている。そして、これらのうち保険給付の一つとしての障害補償一時金(注1)
及び労働福祉事業の一つとしての障害特別支給金(注2)
の支払は、労働基準監督署で、被災労働者の請求に基づき、障害の等級及び金額を確定して支払決議を行い、この支払決議書に基づいて国庫金振込明細票(以下「明細票」という。)及び国庫金振込請求書並びに小切手を作成してこれらを日本銀行代理店に交付し、日本銀行代理店では、明細票により被災労働者の指定する預金口座へ振り込むなどの方法によって行われている。
しかして、大田労働基準監督署では、労働事務官安井某が業務課に勤務し、明細票及び国庫金振込請求書の作成、交付並びに支払済証拠書の編てつ等の事務に従事中、支払決議書に基づいて作成した明細票を、別途作成した架空名義の預金口座を振込先に指定した明細票とすり替えたり、また、既に支払済みとなっている支払決議書に基づいて作成した明細票を同様に別途作成した明細票とすり替えたりして、これを他の正規の明細票と共に日本銀行代理店に交付して合計15,993,374円を領得したものである。
なお、本件損害額については、昭和53年10月末までに1,329,489円が安井某から返納されている。
(注1) 障害補償一時金 労働者が業務上負傷し又は病気にかかり、それが治ったあと、身体に一定の障害が残った場合で、障害が比較的軽いときにその程度及び賃金に応じて支給される保険給付
(注2) 障害特別支給金 被災労働者等の福祉の増進を図るための事業の一つとして、障害補償一時金等が支給される被災労働者に、賃金の多寡と関係なく、障害の程度に応じて定額で支給される給付