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  • 昭和52年度|
  • 第3章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第10 建設省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

下水道工事における開削工法による管きょ布設工事の埋めもどし工費の積算について


下水道工事における開削工法による管きょ布設工事の埋めもどし工費の積算について

 建設省では、近年、下水道の整備を積極的に推進しており、それを実施する地方公共団体に対して毎年度多額の国庫補助金を交付している。

 しかして、北海道ほか1県及び札幌市ほか52市町が事業主体となって昭和52年度中に施行している石狩川流域下水道管きょ新設(3工区)工事ほか172工事(工事費総額92億9572万余円、国庫補助金54億3489万余円)について検査したところ、次のとおり、管きょ布設工事における埋めもどし工費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、上記の173工事は、いずれも下水道管を埋設するため地表をバックホウ等の機械を使用して開削のうえコンクリート管を布設しこれを土砂で埋めもどす方法(開削工法)により管きょ布設工事を施行するもので、この土砂埋めもどし工費の積算について、同省では、47年4月に各地方公共団体に示した「下水道用設計標準歩掛り表(管路施設編)」において、標準的な積算の基準として砂により埋めもどしを行う場合の歩掛かりだけを示しており、この歩掛かりは、埋めもどし作業(現場内小運搬、掘削溝内への砂の投入、敷きならし及び突き固め)はすべて人力で施工する場合を想定して作成されている(このように埋めもどし作業を人力で施工するものとしているのは、機械施工により一度に大量の土砂を投入すると布設されたコンクリート管に大きな衝撃や荷重がかかり、管、特に継ぎ手部に損傷を与えるおそれがあることが理由とされている。)。このため、上記各工事では、砂による埋めもどしについては同省が示した人力施工の砂埋めもどし工の歩掛かりにより積算しており、また、砂以外のものによる埋めもどしについても砂による埋めもどしと同様に人力によることとし、それぞれの都道県で土質に応じて定めた人力施工の歩掛かりを適用して積算しており、前記各工事においては埋めもどし工費が総額6億1640万余円と算定されていた。

 しかし、近年、この種、埋めもどし工事における土砂の現場内小運搬及び掘削溝への投入作業は、布設されるコンクリート管の強度が改善されたり、継ぎ手部が改良されたりしたため管が損傷するおそれが少なくなったことなどからみて、ブルドーザ、バックホウ等の作業効率の良い機械による経済的な施工が可能と認められ、前記各工事における埋めもどしの施工の実態をみても、作業条件、土量等を勘案しながら、これに応じた機械施工をしており、埋めもどし作業のすべてを人力で施工することとしている現行の積算方法は作業の実態に適合しないと認められる。

 いま、仮に本件各工事の予定価格の積算に当たって、上記の施工の実態を考慮し、現場条件に応じて埋めもどし工費を積算したとすれば、積算額を約1億7800万円(国庫補助金相当額1億0600万円)程度低減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、建設省では、53年11月に現場条件が適合したものについては機械施工による積算を行うよう各地方公共団体あて通達を発し、同年12月以降発注する工事からこれが実施されるようにする処置を講じた。