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  • 昭和52年度|
  • 第3章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第1 日本専売公社|
  • 特に掲記を要すると認めた事項

葉たばこの生産及び調達について


(1) 葉たばこの生産及び調達について

 日本専売公社が製造するたばこの主要原料である国内産葉たばこは、たばこ専売法(昭和24年法律第111号)の定めるところにより、公社の許可を受けたたばこ耕作者によって生産され、公社は、原則として、この生産された葉たばこの全量を収納することとなっている。そして、葉たばこの耕作面積及び収納価格は、毎年度、公社総裁の諮問機関であるたばこ耕作審議会の答申を受けて決定されることとなっており、これに従って葉たばこ耕作の許可及び収納が行われている。
 また、上記の国内産葉たばこのほか、公社では、補完原料として香喫味の優れた特性又はニコチン、タールの含有量の少ない特性をもった品質の外国産葉たばこを国際市場の価格によって購入している。
 しかして、公社が昭和52年度に収納した国内産葉たばこは173,249t 2428億5852万余円、購入した外国産葉たばこは85,980t863億2761万余円計259,229t3291億8613万余円で、同年度中に原料として使用した葉たばこは国内産162,159t、外国産74,402t計236,562tであり、その比率は従来どおりおおむね2対1となっている。

 公社が収納したこれら国内産葉たばこ173,249tは前年度の176,158tに比べて若干減少してはいるが、公社が設定した10a 当たりの目標数量からみた収穫見込量約169,000tを上回っており、また、収納した葉たばこの品質をみると上位等級品(1、2等)が全体の42.5%に当たる73,684tとなっていて、47、48両年度の平均58.6%と比較して著しく低下しており、収納した国内産葉たばこのなかには原料として使用する際に特別の処理を要する品質の特に劣ったものも5,130t含まれている状況であって、品質よりも多収穫を指向する耕作が行われている。

 そして、同年度末の葉たばこの在庫量は国内産372,409t、外国産177,701t計550,110t7600億7629万余円となり、前年度末における在庫量国内産354,643t、外国産171,802t計526,446t6818億2309万余円に比べて23,663t782億5319万余円増加している。
 その葉たばこの在庫の内訳についてみると葉たばこが原料として使用されるまでに要する2年間程度の熟成期同等を考慮して定めた標準在庫量24箇月分に対して、外国産葉たばこはこれに見合う在庫量となっているのに、国内産葉たばこはこの標準在庫量を超過した30箇月分となっており、しかも、これを種類別でみると、在来種(注1) 33箇月分、黄色種(注2) 29箇月分、バーレー種(注3) 27箇月分、更に等級別でみると、53年度の使用計画数量からみて1等23箇月分、2等25箇月分、3等36箇月分、4等44箇月分、5等46箇月分となっているなど著しく均衡を失したものとなっている。

 このように過剰在庫となっており、しかも下位等級に偏ったものとなっているのは、次のような理由によると認められる。

(1) 49年度における収納価格の大幅な引上げによりたばこ耕作の収益性が向上し、米作の減反政策の影響等もあって耕作者の耕作意欲が強まったため、耕作面積が49年度の55,732haから52年度の64,246haへと逐次増加したこと

(2) 前記の収納価格の引上げに際して価格体系が大幅に改定され、買入れの際の品質の等級数の減少、等級間の価格差の縮小が行われた結果、耕作者に過剰施肥などによる多収穫指向の耕作をする傾向が強まり、50年度以降総生産量が高水準で推移し、総体的に品質の劣ったものが増加したこと

(3) 近年製造たばこの販売実績は上級品の割合が高まる傾向となっており、ひいて下位等級原料の在庫が増加していること
 このような状況のもとで、公社は外国産葉たばこの使用割合は現状程度にとどめることとし、53年度において国内産葉たばこの生産調整に着手しているものの、耕作者に対する影響から早急に調整を行うことは困難であるとしており、また、公社は価格体系の是正、品質回復のための耕作者の指導等に努力はしているが、耕作者の多収穫指向はまだ十分に改っているとはいえず、しかも公社は生産された葉たばこを品質等級にかかわりなくこれを収納することが原則となっていること、成年人口の増加率の鈍化や健康問題等喫煙に対する社会的関心の高まりなどにより従来のように製造たばこの消費量の伸びに多くを期待できない環境となっていることからみても、過剰在庫の解消、なかでも下位等級に偏った状況の是正は容易でなく、今後この傾向がなお継続することが予測される。したがって、このような状況のまま推移すれば、今後過剰在庫による資金の固定化、諸経費の負担は継続することになる。

(注1)  在来種 古くから国内各地で栽培され、味が軽く、よくふくらむため香りと味が強い葉と混ぜ合わせクセを取るために使用される。

(注2)  黄色種 明治中期から関東地方以南で栽培され、味が濃厚なものとニコチン、タールの少ないものとがあり、それぞれ香りと味を出したり、味をやわらげたりするために使用される。

(注3)  バーレー種 昭和初期から主として東北地方で栽培され、味が淡白なため補充原料等として使用される。