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  • 昭和52年度|
  • 第3章 所管別又は団体別の検査結果|
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  • 第2 日本国有鉄道|
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  • 工事

法面改良工事の施行に当たり、場所打ち鉄筋コンクリート格子枠を設計と相違して施工したもの


(83) 法(のり)面改良工事の施行に当たり、場所打ち鉄筋コンクリート格子枠(わく)を設計と相違して施工したもの

科目 (工事勘定) (項)一般施設取替改良費
部局等の名称 天王寺鉄道管理局
工事名 王寺、河内堅上間153K950M付近のり改良工事
工事の概要 駅旅客ホーム直下の斜面に、災害防止のための鉄筋コンクリート格子枠を施工し、そのなかに平板コンクリートブロックを張り詰めるなどの工事
工事費 14,221,892円(当初契約額14,700,000円)
請負人 大阪土木工業株式会社
契約 昭和52年3月 指名競争契約
しゅん功検査 昭和52年9月
支払 昭和52年10月

 この工事は、監督及び検査が適切でなかったため、場所打ち鉄筋コンクリート格子枠の施工が設計と相違し、格子枠の強度が著しく低くなっていて、工事費8,360,526円に相当する部分が法面工としての目的を達していないと認められる。

(説明)
 この工事は、一級河川大和川右岸斜面の直上部にある関西線河内堅上駅旅客ホームを斜面の崩落等による災害から保護することを目的として、斜面基部に土留擁壁を、その上部斜面に法面工(斜面を保護する工作物)を施工したものである。このうち、法面工は、場所打ち鉄筋コンクリート格子枠(以下「格子枠」という。)92.1m2 及び張りブロック214m2 計306.1m2 (工事費相当額8,360,526円)を施工するもので、設計図書によると、格子枠は斜面に幅30cm、厚さ30cmの鉄筋コンクリートの梁(はり)を縦、横それぞれ2m間隔(地形等により一部これと異なる間隔の箇所もある。)で格子状に設置することとし、梁は、径16mmの異形棒鋼4本を主鉄筋として20cm間隔に正方形に配筋し、その継手部を32cm以上重ねて結束し、更に径10mmの異形棒鋼を帯鉄筋として主鉄筋に対して直角方向に21cm間隔で結束してかご状としたうえ、コンクリート(設計強度240kg/cm2 )を打設することとしている。
 しかるに、その施工についてみると、調査した格子枠の41箇所のうち29箇所において主鉄筋の継手部の36%で重ねの長さが不足していたり、20%で結束していなかったため分離していたりしていて、格子枠の一体としての機能が著しく損われることとなり、また、格子枠のコンクリートは、所定の強度を下回っているものがあるほか、厚さが不足している箇所も見受けられ、格子枠の強度が著しく低くなっていて、法面工としての目的を達していない。

(参考図)

(参考図)