科目 | (損益勘定) (項)保守費 |
部局等の名称 | 門司鉄道管理局 |
役務の概要 | 車両、燈器(合図燈、検査燈等)などの電源として使用する各種蓄電池の充電及び容量検査等の作業を行わせるもの |
年間支払額 | 68,954,388円 |
契約の相手方 | 鉄道産業株式会社 |
契約 | 昭和52年4月 随意契約 |
支払 | 昭和52年5月〜53年3月 |
この役務のうち、携帯用燈器に用いるAAS−3形アルカリ蓄電池の充電については、外注によることなくこの燈器を使用している駅等に充電器を配備して充電する方法によったとすれば、充電器の配備等に要する投資額の全額を控除しても約1160万円が節減でき、更に、次年度以降、本件契約により支払われる外注経費のうち約3800万円に相当する経費が毎年不要となると認められるのに、これを考慮することなく外注によっていたものである。
(説明)
日本国有鉄道では、客車の燈火、気動車のエンジン起動などの電源として使用している大形蓄電池や合図用、検査用の携帯用燈器の電源として使用している小形蓄電池など多種類の蓄電池を使用しているが、門司鉄道管理局では、その充電及び容量検査等のほとんどを部外に発注して行っている。
しかして、上記役務料金支払額のうち約56%を占める39,048,246円は携帯用燈器の電源として使用しているAAS−3形アルカリ蓄電池(以下「蓄電池」という。)の充電に係るもので、この蓄電池の充電に当たっては、門司港駅等管内各駅、車掌区等235箇所において、多いところではほぼ毎日、蓄電池を燈器から取り出し、これを使用箇所別に取りまとめたうえ門司港運転区ほか10箇所の蓄電池検修作業場に持ち込み、上記の会社が、検修作業場の充電設備を使用して充電作業を実施している。その昭和52年度中における実績は1日平均3,246個、年間延べ1,184,640個となっている。
上記のように蓄電池を検修作業場に集めて充電を行う場合には、蓄電池を出し入れする手間や運搬作業が必要となるなどのため、本社では、43年に充電が極めて簡便にできる小形充電器(AAS−3形充電器B形)を開発して規格化しており、この充電器を燈器の使用箇所に配備しておけば、蓄電池を入れたままの燈器を充電器の充電台の上に置いておくだけで充電できるから、検修作業場に集める場合に要する蓄電池の出し入れや運搬の作業も不必要となるなど合理的であるばかりでなく、著しく経済的であるため、本社では43年に文書によりこの小形充電器を配備して充電作業の合理化を図るよう各鉄道管理局に対して指導しており、門司鉄道管理局を除く各鉄道管理局ではこの指導に従っている状況である。
いま、仮に門司鉄道管理局においても、燈器の使用箇所に充電器を配備して、外注による蓄電池の充電を廃止したとすれば、前記の充電作業費39,048,246円から、この充電器による充電を行わない検査予備蓄電池等の充電経費約100万円を差し引いた約3800万円が不用となる一方、使用箇所に新たに充電器773台を配備するなどのために要する投資額は、当局の計算によっても2640万円程度にすぎないもので、この全額を上記の不要となる額から控除しても、前記の充電作業費を約1160万円節減できたばかりでなく、更に、次年度以降本件契約により支払われる外注経費のうち、上記の約3800万円に相当する額が毎年不要となるのであるから、早急に充電方法を切り換えるぺきであったと認められる。
(参考図)