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  • 昭和52年度|
  • 第3章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第3 日本電信電話公社|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

可搬形交換装置設置のための敷地造成及び基礎台工事の工事費の積算について処置を要求したもの


可搬形交換装置設置のための敷地造成及び基礎台工事の工事費の積算について処置を要求したもの

(昭和53年11月17日付け53検第420号 日本電信電話公社総裁あて)

 日本電信電話公社では、加入者の少ない地域に無人電話局として可搬形交換装置(注1) の設置工事を多数施行しているが、東海電気通信局ほか2電気通信局(注2) 及び群馬電気通信部ほか24電気通信部等(注3) が昭和52年度中に可搬形交換装置を設置するため必要な敷地造成及び同装置のコンクリート基礎台等の工事(以下「基礎台関連工事」という。)を施行した直接工事費500万円以上の工事(100工事工事費総額73億1079万余円)のうち、群馬電気通信部六合(くに)局自動改式工事(土木、線路)ほか19工事(工事費相当額18億4657万余円)について検査したところ、次のとおり、基礎台関連工事の工事費の積算が適切でないと認められた。

 すなわち、上記20工事は、いずれも可搬形交換装置を設置するため必要な基礎台関連工事及び通信ケーブル埋設用の管路、マンホール等を施工するもので、このうち、基礎台関連工事については、同公社における「可搬形交換装置基礎台工事の施工区分について(昭和41年10月、施設、建設、建築各局長連名通達)」により、困難な整地工事等を必要とする場合は局舎の新増築工事等を担当施工する建築部門が協力することとしているが、原則としては道路上での通信土木工事を担当施工する建設部門で実施することとしていることから建設部門でこれを行っており、その工事費積算についても、建設部門が道路上の通信土木工事で専ら採用している公社制定の「電気通信設備請負工事予定価格の積算要領(土木)」(以下「積算要領」という。)及び「電気通信設備請負工事予定価格積算のための複合単金表」の複合単金(注4) を適用するほか、積算要領に示されている割増率を乗じて労務費の割増しをして、総額3億2227万余円と算定している。

 しかし、上記の複合単金は交通上の制約など現場条件が悪い道路上で1箇所当たりの工事量が少ないマンホール築造や管路埋設を行うため主として人力で施工する場合を想定して作成されたものであり、また、積算要領において労務費の割増しをすることとしているのは多種多様の小規模工程の集積された工事について所要の補正を行うためであって、これに対し、上記各工事は、公社が取得した傾斜地等を切盛土し、その造成地内に基礎台を施工するなどの工事で、施工場所が広いうえ交通の制約もなく、また、切盛土等の工事量も多量に上るので、切盛土を機械によって施工することが可能であり、かつ、それが経済的な場合が多いものであるから、これらの工事について上記の複合単金及び労務費割増率を全てに適用して積算したのは適切とは認められない。

 しかして、同公社では、敷地造成工事費の積算に関しては、建築部門における局舎等の新増築に伴う各種の敷地造成工事を含めて「建築工事積算指針(標準)及び標準歩掛表」を定めており、上記各工事の内容はこれら積算指針の対象としている工事と同様のものであるから、仮にこれらにより上記20工事の工事費を積算したとすれば積算額を総額約9200万円程度低減することができたと認められる。

 このような事態を生じたのは、基礎台関連工事について上記の施工区分の通達を発した当時に比べて近年工事の規模の大きくなったものが増加しているのであるから、これに対処できるよう通達において建築部門が協力する範囲を明確にすべきであったのにこれを行わなかったこと、また、規模の大きくなった工事に対応する積算要領等の整備が遅れていることによると認められる。

 ついては、この種基礎台関連工事は、電信電話施設の整備拡充の一環として、今後も引き続き多数施行されることが見込まれるのであるから、速やかに工事の実情をは握し、実態に即した積算ができるよう施工区分について明確にし、積算に関する基準を整備して予定価格積算の適正を期する要があると認められる。

(注1)  可搬形交換装置 トレーラトラックで運搬できる鉄製の収容箱に電話交換機等を組み込んだ小型の電話交換装置で、電話局から遠距難にある集落や住宅団地等に設置され、1,000加入までの電話交換を行うもの

(注2)  東海電気通信局ほか2電気通信局 東海、中国、九州各電気通信局

(注3)  群馬電気通信部ほか24電気通信部等 群馬、茨城、栃木、山梨、新潟、愛知、三重、静岡、岐阜、石川、福井、広島、鳥取、島根、岡山、山口、熊本、長崎、鹿児島、宮城、福島、岩手、青森、秋田、釧路各電気通信部、沖縄電信電話管理局及び同臨時施設建設事務所

(注4)  複合単金 工事費の構成要素である切土、掘削、コンクリート打設、型わく等各種工程ごとに労務費、材料費及び機械経費等を算出合計して、工程ごとの単位数量当たりの金額として示したもの

(参考図)

(参考図)