日本道路公団においては、建設大臣の認可又は許可を受けて、有料の高速自動車国道又は一般国道等の建設工事を毎年多数施行しているが、札幌建設局ほか7建設局(注1)
が昭和52年度に施行している道央自動車道植苗舗装工事ほか42工事(工事費合計759億1959万余円)について検査したところ、次のとおり、舗装工事における下層路盤工の舗設費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、上記43工事における舗装工事の下層路盤工費(舗設面積計7,213,686m2
分、積算額47億6708万余円)の積算についてみると、舗設に要する労務費については、公団が制定した「土木工事積算要領」(以下「積算要領」という。)により、舗装工の人数を標準歩掛かりの50%増しとして算定していた。
しかして、公団が積算要領において上記の割増しをすることとしたのは、大規模舗装工事の路盤材の敷きならし用機械は、過去においてアグリゲートスプレッダ(注2)
が主として用いられていたので、積算要領ではアグリゲートスプレッダ2台及びモータグレーダ(注3)
1台の組合せによることとしていたが、その後施工能率の高い経済的なモータグレーダが一般化してきたため、実態調査の結果を基として49年12月にモータグレーダ2台だけによることとする積算要領に改定した際、なお一部の現場ではアグリゲートスプレッダを併用している箇所もあったことを考慮したことによるものである。
しかし、最近の下層路盤の施工の実態をみると、敷きならし作業はすべてモータグレーダだけによって施工されている状況であるので、上記のような割増しをして積算しているのは、施工の実態に適合していないと認められた。したがって、上記各工事について、施工の実態に即して積算したとすれば積算額を約8000万円程度低減できたと認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、日本道路公団では、積算要領を改めて下層路盤工における舗装工の人数の割増しをしないこととし、53年10月以降契約する工事から適用する処置を講じた。
(注1) 札幌建設局ほか7建設局 札幌、仙台、東京第一、新潟、名古屋、大阪、広島、福岡各建設局
(注2) アグリゲートスプレッダ 砕石等を路上に敷きならす機械で、下層路盤の敷きならし作業はダンプトラックにけん引させながらこのダンプトラックから砕石等をホッパーに受けて、これを所要厚さに敷きならすもので、その作業はダンプトラックとの組合せでなければ作業できないという制約がある。
(注3) モータグレーダ 路面の成形や整地をする機械で、下層路盤の敷きならし作業は、あらかじめダンプトラックで所定の場所に運搬された砕石等を排土板で所要厚さに自走しながら敷きならすことができる。