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  • 昭和52年度|
  • 第3章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第7 日本鉄道建設公団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

上越新幹線高架橋工事における鉄筋加工組立費の積算等について


上越新幹線高架橋工事における鉄筋加工組立費の積算等について

 日本鉄道建設公団が実施することとしている上越新幹線(全延長約269km)では高架橋が全延長の約42%(延長約112km)を占めていて、昭和53年10月までに延長約98kmの高架橋工事を施行しており、約50kmを完了している。
 しかして、東京、新潟両新幹線建設局が52年度中に施行している上越新幹線嘉美地区高架橋その他工事ほか193工事(工事費合計1392億1434万余円)について検査したところ、次のとおり、鉄筋加工組立費の積算等が適切でないと認められる点が見受けられた。
 すなわち、上記各工事は新幹線高架橋の鉄筋コンクリート構造物等を新設するものであるが、この鉄筋コンクリート構造物の鉄筋加工組立費(鉄筋総量234,752t分、積算額142億5304万余円)の積算についてみると、これに要する労務費については、日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)が47年1月に制定した「コンクリート工積算要領(案)」及び51年4月に制定した「新幹線標準高架橋積算要領(案)」(以下「高架橋積算要領」という。)をそのまま採用し、これに定められた鉄筋加工組立て歩掛かりを適用して算定していた。
 しかし、本院が鉄筋加工組立ての作業の実態を調査したところ、別項(東北新幹線高架橋工事における排水設備の設計及び鉄筋加工組立費の積算について) に記述したと同様、本件高架橋構造物については、設計が標準化されているため、同一寸法のものを多数使用したり、定尺物を切断することなく使用しており、また、構造物が大きいため、29mm、32mmと太径の鉄筋が大量に使用されていて機械使用による作業の効率化が著しいなど、鉄筋の加工組立て作業の実態は大幅に変化していて、その歩掛かりは前記の歩掛かりを相当下回っていると認められた。したがって、本件各工事について、施工の実態を考慮して積算したとすれば、積算額を約12億5900万円程度低減できたと認められた。

 上記について、本院の指摘に基づき、日本鉄道建設公団では53年10月に高架橋積算要領の鉄筋加工組立て歩掛かりが施工の実態に適合したものに改められたのをうけて、同年11月以降契約を締結する工事からこれを適用することとする処置を講じた。

 上記のほか、前記194工事のうち東京新幹線建設局で施行した上越新幹線行田西地区高架橋その他その3工事ほか14工事において、雨水の排除を行うために高架橋に設置した排水設備(工事費相当額1億2208万余円)の設計が国鉄が定めている東北新幹線排水設備標準図を採用していることから、別項(東北新幹線高架橋工事における排水設備の設計及び鉄筋加工組立費の積算について) で記述したと同様角型管を使用して不経済なものになっていて、経済的な設計をしたとすれば工事費を約1300万円程度節減できたと認められたが、本院の指摘に基づき、日本鉄道建設公団では53年10月に上記の排水設備標準図が改正されたのをうけて、同年11月以降契約を締結する高架橋の排水設備については丸型管を使用するよう処置を講じた。