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電気需給契約の契約電力の決定が適切でなかったため、電気料金が不経済に支払われているもの


(89) 電気需給契約の契約電力の決定が適切でなかったため、電気料金が不経済に支払われているもの

科目 (款)事業運営費 (項)一般研究費
(款)追跡管制費 (項)追跡管制費
部局等の名称 (1) 種子島宇宙センター
(2) 勝浦追跡管制所
契約の概要 種子島宇宙センター増田追跡管制所、同野木レーダステーション及び勝浦追跡管制所に係る電気需給契約
契約の相手方 (1) 九州電力株式会社
(2) 東京電力株式会社
契約 (1) 種子島宇宙センター増田追跡管制所 昭和51年4月(毎年自動更新)
(2) 同野木レーダステーション 昭和51年4月(毎年自動更新)
(3) 勝浦追跡管制所 昭和51年6月(毎年自動更新)
支払 (1) 昭和51年5月〜53年 6月 26回
(2) 昭和51年5月〜53年 8月 28回
(3) 昭和52年5月〜53年10月 18回
支払電気料金 113,603,123円
(1) 36,449,347円(うち51年度分14,614,122円、53年度分2,669,389円)
(2) 40,308,712円(うち51年度分17,167,291円、53年度分5,284,354円)
(3) 36,845,064円(うち51年度分0円、53年度分13,865,980円)

 この電気料金は、契約電力の決定が適切でなかったため、約1230万円が不経済になったと認められる。

(説明)
 上記の各部局では、ロケット及び人工衛星の追跡管制に使用する電力の供給を電力会社から受けており、その契約種別は業務用電力、契約電力は増田追跡管制所及び野木レーダステーションではいずれも499kw、勝浦追跡管制所では500kwとしている。
 しかして、九州電力株式会社及び東京電力株式会社の電気供給規程によれば、業務用電力の場合の契約電力は、原則として、契約負荷設備(注1) に基づいて計算した値と契約受電設備(注2) に基づいて計算した値とを比較して小さい方の値が500kw未満ならば、その小さい方の値を契約電力とすることになっており、また、その小さい方の値が500kw以上であっても、最大需要電力(注3) が500kw未満であれば、契約電力は499kwとすることになっている。そして、増田追跡管制所及び野木レーダステーションについては、いずれも契約負荷設備に基づく計算を行わず契約受電設備に基づく計算だけを行ったところ、その計算値は500kwを超えたものの、最大需要電力が500kwを下回っていたことから、契約電力を499kwとし、また、勝浦追跡管制所については、電気供給規程に定める計算方法により計算を行ったものの、これによることなく別途、人工衛星を追跡管制するのに必要な電力を推定して、これにより契約電力を500kwとしていた。

 しかし、前記のように、契約電力は電気供給規程でその計算方法が示されているのであるから、これに従って計算のうえ決定すべきであり、適正な計算をしたとすれば、増田追跡管制所では320kw、野木レーダステーションでは365kw、勝浦追跡管制所では350kw(昭和53年6月以降は373kw)と、いずれも契約負荷設備に基づいて計算した値の方が契約受電設備に基づいて計算した値より小さくなるので、これにより契約電力を算定すべきであったと認められる。なお、51年4月から53年9月までの間における最大需要電力についてみると、増田追跡管制所では216kw、野木レーダステーションでは300kw、勝浦追跡管制所では294kwとなっている。
 いま、仮に前記の支払期間における電気料金について、適正と認められる契約電力(上記の契約負荷設備に基づいて計算した値)により契約したものとして修正計算すれば、総額101,270,335円(うち51年度分28,120,795円、53年度分19,703,923円)となり、本件支払電気料金は約1230万円(うち51年度分約360万円、53年度分約210万円)が不経済となったと認められる。

(注1)  契約負荷設備 電力を消費する機器類を総称して負荷設備といい、契約上使用することができる負荷設備を契約負荷設備という。

(注2)  契約受電設備 電力会社から配電線により電力の供給を受けるための変圧器を中心とした設備を総称して受電設備といい、契約上使用することができる受電設備を契約受電設備という。

(注3)  最大需要電力 負荷設備のか働、休止によって電力の使用実績は変化するものであり、その各月の最高の値(瞬間的なものは除外し一定時間継続する値)。その測定は需要家の受電箇所に計器を取り付けて記録するようになっている。