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  • 昭和52年度|
  • 第3章 所管別又は団体別の検査結果|
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  • 役務

電力の使用実績が契約電力を著しく下回っているのに、契約電力変更の処置をとらなかったため、電気料金が不経済に支払われていたもの


(90) 電力の使用実績が契約電力を著しく下回っているのに、契約電力変更の処置をとらなかったため、電気料金が不経済に支払われていたもの

科目 (款)業務管理費 (項)事務諸費
部局等の名称 福島競馬場
契約名 電力需給契約
契約の概要 福島競馬場事務所、スタンド、投票所等の電燈用電力及び空気調和装置、電子計算機等の動力用電力の供給を受ける契約で、契約種別を業務用電力、契約電力を1,300kwとし、契約は毎年自動更新される。
契約の相手方 東北電力株式会社
支払 昭和52年2月〜53年9月(日本中央競馬会の会計年度は暦年制)
支払電気料金 36,650,558円(うち53年度分14,170,078円)

 この電気料金は、上記競馬場に設置している空気調和装置等の使用度合いが低下して、電力使用実績が契約電力を著しく下回っているのに、契約電力変更の処置をとらなかったため、約670万円が不経済になったと認められる。

(説明)
 福島競馬場では、東北電力株式会社から電燈用及び動力用の電力の供給を受けていて、その契約電力を従来474kwとしていたが、その後、投票所の増築、空気調和装置の増設及び電子計算機の新設により負荷設備(電力を使用する器具、機械)が増加したことに伴い、昭和47年7月に同株式会社と協議して契約電力を1,300kwに変更していた。
 しかして、同競馬場における電力使用の状況を調査したところ、各年度における最大需要電力(注) の最高値は、48年度においては1,160kwであったが、49年度以降においては49年度680kw、50年度750kw、51年度710kw、52年度770kwとなっていて、各年度とも契約電力を著しく下回っている。
 これは、同競馬場の夏期における気候的条件が競走馬に悪影響を与えることが理由となって出走頭数が少ないため、従来、同競馬場で行っていた夏期の競馬を49年度以降は取りやめ、原則として春・秋期だけに開催することとしたことにより、夏期に冷房用として使用していた空気調和装置の使用の度合いが低下し、電力の使用が少なくなったことなどによると認められる。
 しかして、東北電力株式会社の電気供給規程によれば、業務用電力の契約電力が500kw以上の場合は、使用する負荷設備、受電設備の内容及び最大需要電力の実績等を基準として、需要家と電力会社との協議によって契約電力を変更できることになっているのであるから、上記のように電力の使用が少なくなった場合には、最大需要電力の動向を見極めたうえ、契約電力変更の処置を講ずべきであったと認められる。
 いま、仮に52年度以降における電力需給契約について、49年度から51年度までの間の最大需要電力の最高値である750kwに負荷設備の増設計画及び余裕を見込んで契約電力を900kwにしていたとすれば、52年度及び53年度(8月まで)の電気料金は29,857,592円(うち53年度分11,435,038円)となり、約670万円(うち53年度分約270万円)を節減できたと認められる。

 (注)  最大需要電力 負荷設備のか働、休止によって電力の使用実績は変化するものであり、その各月の最高の値(瞬間的なものは除外し一定時間継続する値)。その測定は需要家の受電箇所に計器を取り付けて記録するようになっている。