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  • 昭和52年度|
  • (別掲)特に記述を必要と認めた団体の団体別の決算(第1章 第7節 第4関係の分)

雇用促進事業団


(20) 雇用促進事業団

 この事業団は、労働者の技能の習得及び向上、地域間及び産業間の移動の円滑化その他就職の援助に関し必要な業務を行うことにより、労働者の能力に適応する雇用を促進し、もって労働者の福祉の増進と経済の発展に寄与することを目的として設置されているもので、52事業年度末現在の資本金は4019億6950万余円(うち国の出資4010億5152万余円)となっており、同事業団の会計は、一般会計並びに港湾労働者福祉事業、炭鉱離職者援護事業及び身体障害者雇用納付金事業の3特別会計に区分して経理され、更に、一般会計は、雇用保険、福祉施設、全国勤労青少年会館、雇用促進融資、駐留軍関係離職者等援護事業及び勤労者財産形成促進事業の6勘定に区分されている。

(一般会計)

 (雇用保険勘定)

 この勘定は、移転就職者用宿舎、職業訓練施設及び福祉施設の設置、運営等の事業に関する経理を行うものである。

 52事業年度収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額1048億1000万余円、支出では、支出決定済額961億0343万余円、翌事業年度繰越額316億9738万余円、不用額25億7971万余円となっている。翌事業年度繰越額の主なものは、施設建設費(支出予算現額832億4221万余円)の293億2927万余円である。

 上記の収入支出に係る業務実績の主なものは、移転就職者用宿舎10万余戸の貸与、総合高等職業訓練校88校の運営、及び移転就職者用宿舎4千余戸と福祉施設203箇所の建設である。
 なお、52事業年度における損益についてみると、政府交付金収入等の収益397億0217万余円、業務取扱費等の費用435億8655万余円で、38億8438万余円の純損失を生じており、前事業年度からの繰越欠損金と合わせ264億4990万余円が翌事業年度へ繰り越されている。

 (福祉施設勘定)

 この勘定は、前記の雇用保険勘定で設置した福祉施設の一部の運営事業に関する経理を行うものである。

  52事業年度収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額16億5751万余円、支出では、支出決定済額16億5497万余円、不用額3億8757万余円となっている。不用額の主なものは、業務委託費(支出予算現額19億1726万余円)の2億9547万余円である。

 上記の収入支出に係る業務実績の主なものは、福祉施設9箇所の運営委託である。
 なお、52事業年度における損益についてみると、福祉施設収入等の収益16億5640万余円、福祉施設事業費等の費用16億5600万余円で、39万余円の純利益を生じており、前事業年度からの繰越欠損金からこれを差し引いた欠損金8546万余円が翌事業年度へ繰り越されている。

 (全国勤労青少年会館勘定)

 この勘定は、前記の雇用保険勘定で設置した全国勤労青少年会館(サンプラザ)の運営事業に関する経理を行うものである。

 52事業年度収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額42億4262万余円、支出では、支出決定済額39億5087万余円、翌事業年度繰越額3076万余円、不用額155万余円となっている。
 なお、52事業年度における損益についてみると、事業収入等の収益41億9297万余円、事業費等の費用39億3442万余円で、2億5854万余円の純利益を生じており、前事業年度からの繰越欠損金からこれを差し引いた欠損金618万余円が翌事業年度へ繰り越されている。

 (雇用促進融資勘定)

 この勘定は、労働者の雇用を促進することを目的として、移転就職者を雇い入れる事業主等に対して、労働者住宅、福祉施設、職業訓練施設等の設置又は整備に要する資金の貸付けの事業に関する経理を行うものである。

 52事業年度収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額286億1391万余円、支出では、支出決定済額279億3767万余円、翌事業年度繰越額28億2700万円、不用額39億9457万余円となっている。
 翌事業年度繰越額はすべて福祉施設等設置資金貸付金(支出予算現額200億1724万円)の分であり、また、不用額の主なものは福祉施設等設置資金貸付金の33億0935万円である。
 前記の収入支出に係る業務実績の主なものは、労働者住宅等建設資金の貸付け429件138億8089万円、貸付金回収94億7382万余円で、52事業年度末における貸付金残高は9,241件1241億0075万余円である。また、この貸付金残高のうち弁済期限を6箇月以上経過した元金延滞額は5億7519万余円(うち1年以上延滞のものは4億7976万余円)となっている。
 なお、52事業年度における損益についてみると、福祉施設等設置資金貸付金利息等の収益85億1527万余円、支払利息等の費用84億5677万余円で、5850万余円の純利益を生じており、この純利益は積立金として積み立てられている。また、52事業年度末における借入金の残高は1252億4449万円(全額資金運用部資金からの借入金)となっており、また、積立金の残高は6億9270万余円となっている。

 (駐留軍関係離職者等援護事業勘定)

 この勘定は、駐留軍関係離職者及び沖縄関係離職者の雇用を促進するため、これらの者に対し職業訓練に関する手当、再就職のための移転資金等を支給する事業に関する経理を行うものである。

 52事業年度収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額1億8069万余円、支出では、支出決定済額1億6444万余円、不用額5億2509万余円となっている。不用額の主なものは駐留軍関係離職者等援護費(支出予算現額6億6430万余円)の5億0749万余円である。

 上記の支出に係る業務実績の主なものは、延べ4,680人に対する職業訓練手当等8948万余円の支給である。
 なお、52事業年度における損益についてみると、政府交付金収入等の収益1億6678万余円、駐留軍関係離職者等援護事業費等の費用1億6455万余円で、222万余円の純利益を生じており、この純利益は積立金として積み立てられている。また、52事業年度末における積立金の残高は2444万余円となっている。

(勤労者財産形成促進事業勘定)

 この勘定は、勤労者の財産形成を促進するため、中小事業主等に対する財産形成持家分譲資金等の貸付けの事業に関する経理を行うものである。

 52事業年度収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額113億0958万余円、支出では、支出決定済額112億6070万余円、翌事業年度繰越額10億4391万余円、不用額172億8626万余円となっている。
 翌事業年度繰越額はすべて財形分譲住宅建設資金貸付金(支出予算現額268億5110万余円)の分であり、不用額の主なものは財形分譲住宅建設資金貸付金の170億5890万円である。
 前記の収入支出に係る業務実績の主なものは、財形分譲住宅建設資金の貸付け230件87億4828万余円、貸付金回収8億5257万余円で、52事業年度末における貸付金の残高は613件188億2530万余円となっている。
 なお、52事業年度における損益についてみると、財形分譲住宅建設資金貸付金利息等の収益15億6028万余円、支払利息等の費用24億1395万余円で、8億5367万余円の純損失を生じており、前事業年度からの繰越欠損金と合わせ10億0478万余円が翌事業年度へ繰り越されている。また、52事業年度末における雇用促進債券の発行残高は200億2800万円となっている。

(港湾労働者福祉事業特別会計)

 この会計は、港湾労働者の雇用の安定、福祉の増進のため、登録日雇港湾労働者に対して雇用調整手当の支給等の事業に関する経理を行うものである。

 52事業年度収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額15億0499万余円、支出では、支出決定済額14億2148万余円、不用額1億8958万余円となっている。不用額の主なものは、雇用調整手当(支出予算現額11億8547万余円)の1億3334万余円である。

 上記の支出に係る業務実績の主なものは、登録日雇港湾労働者延べ28万余人に対する雇用調整手当10億5212万余円の支給である。
 なお、52事業年度における損益についてみると、納付金収入等の収益14億0366万余円、雇用調整手当等の費用14億2193万余円で、1826万余円の純損失を生じており、この純損失は積立金を減額して整理されている。また、52事業年度末における積立金の残高は1億0802万余円となっている。

(炭鉱離職者援護事業特別会計)

 この会計は、炭鉱離職者に対して、再就職を促進するため、職業訓練を実施したり、移住資金等を支給したりするなどの事業に関する経理を行うものである。

 52事業年度収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額10億9848万余円、支出では、支出決定済額7億5299万余円、翌事業年度繰越額2億4968万余円、不用額6億1098万余円となっている。
 翌事業年度繰越額はすべて施設建設費(支出予算現額4億5000万円)の分であり、また、不用額の主なものは、援護事業費(支出予算現額4億0687万余円)の2億4384万余円である。
 前記の支出に係る業務実績の主なものは、延べ984人分の雇用奨励金6425万余円の支給及び福祉施設3箇所の建設である。
 なお、52事業年度における損益についてみると、補助金及び交付金等の収益9億3854万余円、管理費等の費用6億4760万余円で、2億9093万余円の純利益を生じており、この純利益は積立金として積み立てられている。また、52事業年度末における積立金の残高は24億0149万余円となっている。

(身体障害者雇用納付金事業特別会計)

 この会計は、身体障害者雇用納付金制度により身体障害者の雇用に伴う経済的負担の調整等を図るため、身体障害者の雇用率が低い事業主から身体障害者雇用納付金を徴収し、その納付金を原資として身体障害者の雇用率が高い事業主に対して、身体障害者雇用調整金等を支給する事業に関する経理を行うものである。

 52事業年度収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額97億5543万余円、支出では、支出決定済額18億0495万余円、翌事業年度繰越額6億1459万余円、不用額33億7563万余円となっている。
 翌事業年度繰越額はすべて支給金(支出予算現額36億1978万余円)の分であり、不用額の主なものは支給金の18億8852万余円である。
 前記の支出に係る業務実績の主なものは、延べ88,269人分の雇用調整金等10億2422万余円の支給である。
 なお、52事業年度における損益についてみると、納付金収入等の収益97億5543万余円、身体障害者雇用促進事業費等の費用17億9749万余円で、79億5793万余円の純利益を生じており、この純利益は積立金として積み立てられている。また、52事業年度末における積立金の残高は79億5793万余円となっている。