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  • 昭和54年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第1 総理府|
  • (防衛庁)|
  • 不当事項|
  • 物件

P−2J型対潜哨(しょう)戒機等用プロペラ部品を過大に調達したため、不経済になったもの


(1) P−2J型対潜哨(しょう)戒機等用プロペラ部品を過大に調達したため、不経済になったもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)防衛本庁 (項)装備品等整備諸費
昭和53、54年度国庫債務負担行為
(組織)防衛本庁 (事項)装備品等整備
部局等の名称 調達実施本部 (要求元 海上幕僚監部)
海上自衛隊需給統制隊
購入物品 航空機用部品エア・ディフューザアンドクランプ119個、プロペラ・ドーム38個等339品目16,266個
購入物品の概要 P-2J型対潜哨戒機等の機器修理用部品
購入価額 904,869,973円 うちエア・ディフューザアンドクランプ12,708,816円、プロペラ・ドーム27,670,790円、計40,379,606円
契約の相手方 住友精密工業株式会社ほか1会社
契約 昭和53年9、10、11月
昭和54年11月
昭和55年3月
} 随意契約
支払 昭和54年2月〜55年4月 6回

 上記部品の購入に当たり、エア・ディフューザアンドクランプ及びプロペラ・ドームについては、腐食防止のため塗装を行い耐用年数の延伸が図られたことにより部品の使用数量が減少しているのに、これについて配慮しないまま調達所要量を算定したため、調達数量が過大となり、総額約2890万円が不経済になったと認められる。

(説明)

 本件購入部品のうち、エア・ディフューザアンドクランプ(以下「ディフューザ」という。)及びプロペラ・ドーム(以下「ドーム」という。)は、P−2J型対潜哨戒機、PS−1型対潜飛行艇等のプロペラの構成部品で、プロペラを修理する際、傷みがひどく交換を要する場合の交換用として使用するものである。
 そして、その調達に際しては、この部品が技術上精度の高いものであることから調達に相当の日時を要するため、あらかじめ向う2年間の需要予測をたて調達所要量を算出することとしているが、この算出方法については過去の交換実績等に基づき交換率を計算して所要量を決定することとしている。
 しかして、本件ディフューザ及びドームの昭和53年度及び54年度調達分の所要量算出の基礎となる交換率の計算についてみると、53年度調達分については46年10月から52年10月まで、54年度調達分については46年10月から53年10月までの交換実績等により、両年度ともディフューザについては60%、ドームについては15%と計算していた。そして、これに基づき、調達数量は在庫量等を勘案のうえ、53年度はディフューザ39個(購入価額3,650,478円)、ドーム18個(同12,829,340円)、54年度はディフューザ80個(同9,058,338円)、ドーム20個(同14,841,450円)とし、これにより調達したものである。

 しかしながら、上記部品については、48年1月、改修等指示書の改正が行われ、腐食防止のため塗料を塗ることが義務付けられ、新たに製造するものについては同年2月末から、修理品については同年3月から塗装を行うこととなり、耐用年数の延伸が図られたため、プロペラの修理間隔(おおむね3年)を経過した51年以降は塗装済みのものの占める割合が増大することによって交換率が低下することが明らかであったのに、塗装未済のものが大部分を占めている上記期間の交換実績等を基にして交換率を計算しているのは実情に沿わず、適切とは認められない。
 すなわち、51年度以降のプロペラの修理実績に占める本件部品の塗装済みのものの割合をみると、51年度は約30%、52年度は約90%、53年度以降はすべて塗装済みのものとなっている状況であり、また、塗装済みのものの交換実績について、要修理品の分解検査を行う際修理会社から提出された50年11月から54年7月までの間の交換部品表等によりディフューザ318個、ドーム326個を抽出して調査したところ、塗装済みのものの交換率は、51、52両年度の平均ではディフューザ44%、ドーム6%、51年度から54年度(7月)までの平均ではディフューザ29%、ドーム5%となっていて、当局が採用した交換率ディフューザ60%、ドーム15%と比べて著しい開差を生じている状況である。

 上記の調査結果に基づき、本件部品の交換率を、53年度調達分は51、52両年度の実績によりディフューザ45%、ドーム10%とし、また、54年度調達分は51年度から54年度(7月)までの実績によりディフューザ30%、ドーム5%とし、前年度末の在庫量及び当年度の入庫予定量等を勘案して両年度分の調達所要量を算定すると、53年度分はディフューザ24個、ドーム13個となり、54年度分は両部品とも調達する要はない計算となる。
 したがって、前記のように53年度にディフューザ39個、ドーム18個、54年度にディフューザ80個、ドーム20個とした調達数量は、上記により53年度についてのみディフューザ24個(購入価額2,246,448円)、ドーム13個(同9,216,610円)を調達すれば足りることとなるので、結局、ディフューザ95個分10,462,368円、ドーム25個分18,454,180円、合計28,916,548円は調達の要はなかったと認められる。