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  • 昭和54年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第1 総理府|
  • (防衛庁)|
  • 不当事項|
  • 物件

断線式警報装置の購入に当たり、導線の規格の検討が適切でなかったため、不経済になったもの


(2) 断線式警報装置の購入に当たり、導線の規格の検討が適切でなかったため、不経済になったもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)防衛本庁 (項)武器車両等購入費
部局等の名称 調達実施本部 (要求元 航空幕僚監部)
購入物品 断線式警報装置
受信機
察知線
導線
制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブル
(1) 6 48,000 16,000
(2) 42 369,000 87,000
48 417,000 103,000
購入物品の概要 警備対象施設の周囲に察知線を張り巡らし、侵入者がこれを切断したとき警報を発する構造となっている警報装置で、受信機、察知線及びこれらを接続する導線で構成されているもの
購入価額 (1) 昭和53年度 5,696,000円
(2) 昭和54年度 35,967,000円
41,663,000円
契約の相手方 日本電気株式会社
契約 (1) 昭和53年10月 随意契約
(2) 昭和54年10月 随意契約
支払 (1) 昭和54年3月
(2) 昭和55年3月

 この物品の購入に当たり、導線については受信機の仕様等に基づいてその規格を決定すべきであったのに、検討を十分に行わないまま過大な心線径の導線を使用することとしたため、約450万円が不経済になったと認められる。

(説明)

 航空自衛隊では、昭和52年6月に知念分とん基地で発生した小銃の盗難事故に顧み、53年度から5箇年計画で各基地の警備を強化することとし、その一環として、本件警報装置48組を設置することとして、これに必要な受信機、察知線及び導線の購入を調達実施本部に要求して取得し、その設置作業は各部隊がそれぞれ実施しているが、このうち、導線については、心線径2.0mm3心の制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブル(以下「CVVケーブル」という。)を使用することとしており、その購入価額は1m当たり98円、購入数量103,000mで総額10,094,000円となっている。
 しかして、上記導線の規格の決定の経緯についてみると、同自衛隊では、各基地の立地条件に応じ、地下埋設、架空及びフェンス添架等で布設する場合を考慮し、そのいずれの布設方法にも適合するCVVケーブルを選定することとし、また、ケーブルの心線径は、本件警報装置に使用する電源が交流100ボルトであるところから、これに使用する電線は「電気設備に関する技術基準を定める省令」(昭和40年通商産業省令第61号)により、架空線路に使用する場合は、心線径が2.0mm以上になると判断して、心線径を2.0mmと決定したものである。

 しかし、本件警報装置に使用する電流は、交流100ボルトの商用電源を使用してはいるが、受信機内の整流器で直流5ボルトに変換され、導線では微弱なものとなり、このような直流回路は安全面からの配慮を要せず、電気施設の保安上の要請から定められた上記技術基準の適用を受けることになっていないのに、この技術基準の適用を受けるものと解して、導線の心線径を決定したのは適切とは認められない。
 したがって、本件導線の心線径は受信機の仕様による導線と察知線の線路抵抗値の許容範囲(10キロオーム以内)から判断すれば足り、本件導線の心線径を0.2mmとして導線及び察知線の最大布設長等から線路抵抗値を計算しても上記の範囲内であるから、心線径は0.2mm程度で足りることとなる。しかし、各基地の布設条件を考慮してCVVケーブルを使用することとすると、このケーブルで取得が容易なものの心線径は1.0mmが最小となるので、これを使用すべきであったと認められる。
 いま、仮に本件導線について心線径1.0mm3心のCVVケーブルを使用したとすれば、単価は1m当たり53年度49円、54年度54円であるので、購入数量103,000mでは総額5,543,370円となり、本件購入価額は、これに比べて約450万円が不経済になったと認められる。