会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)農林水産本省 (項)土地改良事業費 (項)農業構造改善対策費 |
(組織)水産庁 (項)水産業振興費 | ||
部局等の名称 | 農林水産省、東北、北陸、中国四国各農政局 | |
補助の根拠 | 土地改良法(昭和24年法律第195号)等 | |
事業主体 | 市町村3、その他2、計5事業主体 | |
補助事業 | 青森県北津軽郡金木町金木地区なめこ栽培管理施設設置等6事業 | |
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 210,284,161円 |
上記の6補助事業において、工事の施工が設計と相違していたり、事業費を過大に精算していたりなどしていて、国庫補助金28,363,762円が不当と認められる。これを県別に掲げると、次表のとおりである。
県名 | 事業 | 事業主体 | 事業費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認めた事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(54) | 青森県 | 北津軽郡金木町金木地区自然休養村整備事業なめこ栽培管理施設設置等 | 農事組合法人みちのくなめこ生産組合 | 41,708 | 20,854 | 7,072 | 3,536 | 事業費の精算過大 |
この事業は、なめこの生産及び販売の合理化を図るため、昭和54年1月及び2月になめこ栽培管理施設8棟延べ1,564m2
及びボイラ2基等の栽培管理用機械を設置したもので、栽培管理施設については契約額32,750,000円で、栽培管理用機械については契約額8,158,000円でそれぞれ請負により施工したとし、また、これら工事の設計監理については800,000円で委託したとして、計41,708,000円で事業費を精算していた。 しかし、実際は、栽培管理施設については上記の契約を解約し、別途に28,535,159円で請負により施工し、また、栽培管理用機械及び設計監理については、それぞれ2,658,000円及び200,000円の割りもどしを受けており、結局、設置に要した費用は34,635,159円である。 なお、この事業費から補助金額を差し引いた額については、農業近代化資金16,710,000円が貸し付けられているが、上記の結果、適正な貸付額は13,854,064円となるため2,855,936円が貸付超過となっている。したがって、これに対する利子補給補助金(54年1月から12月まで41,077円)は交付する要はなかったものである。 |
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(55) | 新潟県 | 北蒲原郡黒川村郷土文化伝習施設整備 | 黒川村 | 49,900 | 21,127 | 2,977 | 1,260 | 工事の施工不良 |
この事業は、民舞等の伝統的な郷土文化を維持伝承することにより、農業者等地域住民の交流の促進を図るため、昭和55年3月に郷土文化伝習館(315m2
)を設置したもので、このうち、室内のせっこうプラスター塗りの左官工事は、設計書及び仕様書によると、下地モルタルの上に中塗りとして厚さ10mm、その上に上塗りとして厚さ2mmをそれぞれ施工することとし、施工に当たっては、プラスターが相当に硬化するまでは、はなはだしい通風を避け、硬化後は適度の通風を与えて塗り面の乾燥を図るなど湿度管理を十分行うこととなっていた。 しかるに、室内の壁部513m2 、天井部281m2 、梁(はり)部247m2 等計1,185m2 及び巾木部のプラスター塗り工事は、各作業の終了後、室内を密閉し適度の通風を与えなかったため、結露を生じ、塗り層の乾燥が遅れプラスターの接着強度が著しく低下し、プラスターと下地モルタルとがはく離し、会計実地検査当時(55年6月)、既に天井の一部についてプラスターがはく落している状況となっていた。 |
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(56) | 福井県 | 福井市麻生津北部地区ほ場整備 | 麻生津北部土地改良区 | 285,900 | 128,655 | 27,746 | 12,485 | 事業費の清算過大 |
この事業は、農業生産基盤の整備を図るため、福井市杉谷地区ほか3地区において農地54.6haのほ場整備(事業計画昭和51年度から55年度)を施行するもので、52年度から54年度までの間の整地及び道路等の19工事(工事費総額267,659,000円)のうち12工事については工事費総額213,822,000円(52年度5工事109,729,000円、53年度4工事61,518,000円,54年度3工事42,575,000円)で施行したこととして事業費を精算していた。 しかし、実際は、上記12工事について、請負人(4社)から総額27,746,500円の割りもどしを受けており、工事に要した費用は186,075,500円である。 |
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(57) | 同 | 福井市麻生津北部地区かんがい排水 | 麻生津北部土地改良区 | 50,000 | 22,500 | 5,100 | 2,295 | 事業費の清算過大 |
この事業は、農業生産基盤の整備を図るため、福井市今市地区において揚水機場1箇所及び送水用パイプライン延長2,747m等を施工するもので(事業計画昭和52年度から55年度)、うち52、53両年度にパイプライン建設の4工事を工事費総額48,040,000円で施行したこととして事業費を精算していた。 しかし、実際は、請負人から総額5,100,000円の割りもどしを受けており、工事に要した費用は42,940,000円である。 |
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(58) | 高知県 | 高知市漁業近代化施設整備漁船用補給施設設置 | 高知市 | 11,397 | 7,598 | 11,397 | 7,598 | 事業の不実施 |
この事業は、水産業の用に供する共同利用施設を設置し、経営の合理化等を図るため、昭和53年度に高知市浦戸地区に漁船用補給施設(31kl地下タンク1基、地下タンク室及び給油装置等)を事業費11,397,000円で設置するもので、同年度に事業を実施したとして、高知県から補助金7,598,000円(財源は全額国庫補助金)の交付を受けていた。 しかして、高知市では、54年3月本件施設基礎工事の鋼矢板の打ち込みに着手したところ、機械の騒音、振動が激しいため地元住民より工事中止の申入れがあったり、地表面より深さ3m付近に転石等があって鋼矢板の打ち込み及び掘削を設計どおり施工することが不可能となったりしたため、これらに対処して計画を変更し、掘削深さ5mを2.6m程度として10.8klタンク2基を建設することとしたものの、本件施設設置について地元住民の強硬な反対にあって、結局、事業を実施することなく、これを取りやめている。 しかるに、同市では、本件事業が53年度末ですべて完成したとして、実績報告書を同県に提出し、54年5月上記補助金7,598,000円の交付を受け、これを別途に銀行預金としていた。 |
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(59) | 高知県 | 幡多郡十和村野々川地区農道整備 | 十和村 | 19,100 | 9,550 | 2,375 | 1,187 | 工事の施工不良 |
この工事は、農村の基盤整備を図るため、十和村野々川地区に農道総延長979mを新設する工事(事業計画昭和51年度から54年度)の一環として、53年度において、延長260mについて土砂の切り取り、盛土及びコンクリートブロック練り積み擁壁992m2
等を施工したものである。 しかして、このうち谷側に施工した路側コンクリートブロック練り積み擁壁の一部延長28m(143m2 )は、設計書、図面及び仕様書によると、高さ3.2mから5.4m、法勾配(のりこう)配(注) 4分で施工し、背後の埋めもどし土及び擁壁上部の盛土(法長3.8mから6.9m、法勾配1割2分)は工事に適した良質土を使用し、入念に締め固めて施工することになっていた。 しかるに、埋めもどし土及び盛土の施工に当たり、締め固めが十分でなかったなど施工が粗雑であったため、擁壁背後の埋めもどし箇所に雨水等が浸透して不等沈下を生じ、これにより擁壁背後に過大な土圧がかかることとなって擁壁が設計に比べて前方に傾斜し、法勾配はほとんどの箇所で3.2分から3.8分程度となっていて、既に4箇所にわたりき裂が発生し、特に中央部分の天端(ば)では約9cm開口し、上端が所定の位置より約37cm前面に押し出されているなど、擁壁全体が不安定なものとなっている。 |
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(注) 法勾配 法面(斜面)の傾斜の度合いを表わす土木用語で、法面を斜辺とする直角三角形の鉛直の辺の長さに対する水平の辺の長さの比で表わされる。例えば、高さ1mに対して水平の長さが0.4mの場合は法勾配4分と呼ばれる。 | ||||||||
計 | 458,005 | 210,284 | 56,669 | 28,363 |