会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)農林水産本省 | (項)農業振興費 (項)農蚕園芸振興費 (項)水田利用再編対策費 (項)畜産振興費 (項)食品流通等対策費 |
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部局等の名称 | 東北、関東、東海、近畿、中国四国、九州各農政局、沖縄総合事務局、北海道、長野県 | |||
事業主体 | 村1、農業協同組合4、その他26、計31事業主体 | |||
補助事業 | 秋田県仙北郡田沢湖町田沢養豚生産組合農業就業改善総合対策事業等11事業 | |||
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 121,500,666円 |
上記の11補助事業において、補助の対象とは認められないものを事業費に含めていたり、補助の目的を達していなかったりなどしていて、国庫補助金36,190,274円が不当と認められる。これを事業別、道県別に掲げると、次表のとおりである。
道県名 | 事業内容 | 事業主体 (所在地) |
事業費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認めた事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(農業就業改善総合対策事業) | ||||||||
(60) | 秋田県 | 豚舎の設置等 | 田沢養豚生産組合(仙北郡田沢湖町) | 14,385 | 7,191 | 2,705 | 1,352 | 事業費の積算過大 |
この事業は、農業者が地元において安定した就労の場を得るため、豚の肥育を行うこととして、昭和53年12月に豚舎1棟321m2
を設置するとともに自動給飼箱等を導入したもので、このうち豚舎については、契約額11,670,000円で請負により施工したとし、これに設計料等607,000円を加え計12,277,000円で設置したこととして事業費を精算していた。 しかし、実際は、豚舎の設置工事を別途基礎工事、木工事等の工事に分けて計7,525,000円(設計料を含む。)で請負により施工し、また、支給資材の購入等に2,046,566円を支払っていて、結局、設置に要した費用は9,571,566円である。 なお、この事業費から補助金額を差し引いた額については、農業近代化資金5,564,000円が貸し付けられているが、上記の結果、適正な貸付額は4,672,854円となるため891,146円が貸付超過となっている。したがって、これに対する利子補給補助金(53年11月から54年12月まで14,905円)は交付する要はなかったものである。 |
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(61) | 同 | 集出荷所の設置 | 仙北郡西木村 | 18,810 | 9,405 | 18,810 | 9,405 | 補助目的の不達成 |
この事業は、農業者が地元において安定した就労の場を得るため、昭和53年11月になめこ等の特用林産物の共同集出荷所1棟299m2
を設置したもので、設置後、村は同建物を使用して集出荷業務を行うことを農業協同組合に委託していた。 しかし、農業協同組合は、受託後、集出荷業務をほとんど行っておらず、55年7月には組合の事務所等に使用することとして施設の改装等を行っている状況であり、特用林産物の共同集出荷所として設置した目的を達していない。 |
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(土地利用型集団営農推進特別事業) | ||||||||
(62) | 宮城県 | ほ場の改良等 | 津谷畑作振興組合(本吉郡本吉町) | 36,432 | 18,216 | 2,625 | 1,312 | 事業費の精算過大 |
この事業は、昭和53年度補助事業として、畑地基盤を整備したい肥により地力を培養するとともに、高能率農業機械を導入して畑作経営の合理化と生産性の向上を図るため、ほ場20haを改良し、たい肥舎2棟延べ330m2
を設置するとともにトラクタ等を導入したもので、このうちほ場改良については、契約額15,000,000円で請負により施工したとして事業費を精算していた。 しかし、実際は、ほ場改良20haのうち傾斜地の14.9haは10,846,788円で請負により施工し、比較的平たんな5.1haは1,528,189円で農業協同組合に委託して施工していて、施工に要した費用は12,374,977円である。 |
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(63) | 兵庫県 | トラクタ等の購入 | 中町農業協同組合(多可郡中町) | 61,998 | 21,284 | 6,050 | 2,017 | 事業の計画不適切 |
この事業は、水田作を基幹とする地区において、高能率な一貫作業体系を確立し、生産性の向上を図ることを目的として、昭和53年10月にトラクタ8台(附属作業機を含む。)、ライムソワー5台、コンバイン11台、コンバインカー8台、トレンチャ1台、サブソイラ1台及びバックホウ1台を導入したものである。 しかして、これら機械の利用計画によると、稲の作付目標面積を468haとして、トラクタ及びコンバインは既存の機械の保有台数を考慮して183ha及び176ha、ライムソワーは作付目標面積の468ha、トレンチャ及びサブソイラは暗きょ排水が必要である水田について50ha及びバックホウは20haをそれぞれ毎年の利用計画面積としている。 しかし、同計画時における対象地区内のほ場整備の実施済み面積は119.4ha(進ちょく率約30%)にすぎず、未整備の水田は狭小な区画のものが多く機械の利用が困難であるのに、これを利用計画面積に含めていたこと、受益農家の約60%がトラクタ及びコンバイン等を保有していたのにこれを十分考慮しなかったこと、事前に受益農家の意向等について十分は握しなかったことなどのため、前記の利用計画は実態に沿わないものとなっていた。このため導入した機械のうち、トラクタ2台、ライムソワー4台、コンバイン2台及びコンバインカー、トレンチャ、サブソイラ、バックホウ各1台は導入以後全く利用されていないばかりでなく、利用した機械についてもその利用率は著しく低くなっている状況であり、会計実地検査後、利用計画の見直しを行った結果によっても、トラクタは80ha、ライムソワーは70ha及びコンバインは92haについて利用が見込まれるにすぎず、結局、トラクタ1台、ライムソワー3台及びコンバイン1台(事業費6,050,000円、国庫補助金相当額2,017,030円)は、今後においても利用の見込みがないものである。 |
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(麦作集団育成対策事業) | ||||||||
(64) | 佐賀県 | 暗きょ排水 | 東与賀町農業協同組合(佐賀郡東与賀町) | 31,242 | 15,621 | 2,625 | 1,312 | 工事費の清算過大 |
この工事は、麦作規模を拡大し、生産性の向上と麦の増産を図るため、昭和53年10月から12月までの間に、水田76.7haに暗きょ排水工事を施工したもので、工事費の積算についてみると、うち吸水管(ネトロンパイプ内径45mm)は1m当たり140円、69,993mで9,799,048円、排水管(塩化ビニルパイプ内径56mm)は1本(長さ4m)当たり1,090円、708本で771,720円、計10,570,768円と算定していた。 しかし、事業主体においては、設計期間中に本件工事の請負業者に供給するため資材取扱業者から見積書を徴し、その後見積書どおり吸水管は1m当たり97円、排水管は1本当たり590円で購入し、請負業者に供給しているのであるから、この見積価格により積算すべきであったと認められ、これによると吸水管及び排水管の積算額は計7,207,060円となる。 いま、上記により工事費を修正計算すると総額28,617,000円となり、本件工事費はこれに比べて2,625,000円割高になっていると認められる。 |
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(水田利用再編対策事業) | ||||||||
(65) | 北海道 | 水稲の作付転換 | 石狩郡新篠津村農業者3名 | 5,730 | 5,730 | 5,322 | 5,322 | 補助の対象外 |
この事業は、米の生産調整を図るため、水田において転作を実施した農業者に対して水田利用再編奨励補助金を交付するもので、昭和50年産水稲の収穫期前に造成された水田等を交付対象水田としている。 しかして、農業者3名は、50年産水稲の収穫期前に水稲の作付けが可能となっていた水田80,600m2 に53年度において小豆を作付けしたとして総額3,788,200円の同補助金の交付を受け、また、54年度においても95,500m2 について引き続き小豆及び大豆を作付けしたとして、54年8月同補助金3,884,500円の交付決定を受け、うち、1,942,250円(概算払額)の交付を受けていた。 しかし、実際は、上記の水田面積のうち80,000m2 (これに対する同補助金53年度3,760,000円、54年度補助金交付決定額3,125,000円のうち概算払額1,562,500円)は51年3月に村有原野の払下げを受け、同年11月までの間に開墾を行い、普通畑として造成したものであって、補助の対象とはならないものである。 |
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(66) | 長野県 | 水稲の作付転換 | 上水内郡三水村農業者19名 | 3,840 | 3,840 | 617 | 617 | 補助金の過大交付 |
この事業は、米の生産調整を図るため、水田において転作を実施した農業者に対して水田利用再編奨励補助金を交付するもので、農業者19名は、昭和54年度に水田50,840m2
に水稲以外のそば等を作付けしたとして同補助金総額3,840,216円の交付を受けていた。 しかし、上記水田については、53年度に三水村が事業主体となり、ほ場整備事業を実施した結果、その確定測量面積は42,748m2 となっていて、これにより54年3月同村は一時利用地の指定(注) を行い、上記農業者に通知していたのであるから、54年度の転作実施水田面積はこれによるべきであり、8,092m2 に係る同補助金が過大に交付されていた。 |
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(注) 一時利用地の指定 土地改良事業により整備された農用地につき、換地計画に基づいて換地処分する場合等において、事業参加者に一時的に耕作させるため市町村等の事業主体が行う指定 |
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(畜産経営技術向上等対策事業) | ||||||||
(67) | 三重県 | 畜ふん乾燥処理施設の設置等 | 有限会社さんすい有機(四日市市) | 41,692 | 13,152 | 2,465 | 777 | 事業費の精算過大 |
この事業は、昭和53年度補助事業として、家畜排せつ物による環境汚染を防止し排せつ物を有機質肥料として有効利用を図るため、畜ふん乾燥処理施設3棟延べ1,036m2
、集積場1棟66m2
、発酵処理施設1棟506m2
を設置するとともにショベルローダ等を導入したもので、このうち畜ふん乾燥処理施設の基礎、集積場、発酵処理施設等については契約額20,535,000円で請負により施工したこととして事業費を精算していた。 しかし、実際は、2,465,000円の割りもどしを受けており、施工に要した費用は18,070,000円である。 |
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(68) | 徳島県 | たい肥舎の設置等 | 板西農業協同組合(板野郡板野町) | 25,055 | 8,317 | 4,488 | 1,490 | 補助目的の不達成 |
この事業は、家畜排せつ物による環境汚染を防止し排せつ物を有機質肥料として有効利用を図るため、昭和53年11月から54年2月までの間に共同利用のためのたい肥舎3棟延べ376m2
、格納庫1棟84m2
を設置するとともにトラクタ2台等を導入したものである。 しかして、このうち、たい肥舎1棟180m2 については農家3戸が共同利用することとなっていたが、54年2月にしゅん功してから同年9月までの間に共同利用しただけで、その後は農家1戸がたい肥舎に接続して畜舎を建設し、たい肥舎を飼料庫及び保育舎として個人で使用しており、共同利用のための施設として設置した目的を達していない。 |
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(69) | 沖縄県 | ふん尿溜槽の設置等 | 有限会社東和畜産(宮古郡上野村) | 19,245 | 6,244 | 2,000 | 649 | 事業費の精算過大 |
この事業は、家畜排せつ物による環境汚染を防止し排せつ物を有機質肥料として有効利用を図るため、昭和54年1月及び3月にふん尿溜槽(だめそう)2基(567m3
及び400m3
)を設置するとともにトラクタ1台等を導入したもので、このうち、ふん尿溜槽1基(400m3
)については契約額7,000,000円で請負により設置したこととして事業費を精算していた。 しかし、実際は、上記ふん尿溜槽は5,000,000円で契約しており、本件事業に要した費用は17,245,000円である。 |
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(青果物等生産流通対策事業) | ||||||||
(70) | 長野県 | 共同計算用電動式計算機等の設置 | 木島平村農業協同組合(下高井郡木島平村) | 37,500 | 12,500 | 35,800 | 11,933 | 補助の対象外 |
この事業は、昭和53年度補助事業として、野菜指定産地における指定野菜等の生産及び出荷の近代化を図るため、共同計算用電動式計算機及び電算室空調設備を設置するもので、53年11月に事業費37,500,000円で設置したこととしていた。 しかし、53年度においては計算機のメモリー容量を増設(16KB)しただけであって、計算機(メモリー容量48KB)及び空調設備については、組合が52年7月及び53年2月に契約し、53年3月までに35,800,000円で設置し、使用していたものであって、補助の対象とは認められない。 |
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計 | 295,929 | 121,500 | 83,509 | 36,190 |