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  • 昭和54年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
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  • 保険

労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの


(108) 労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計 (徴収勘定) (款)保険収入 (項)保険料収入
部局等の名称 北海道労働基準局ほか30労働基準局 東京都ほか5県
保険料納付義務者  640事業主

 上記の640事業主から保険料を徴収するに当たって、調査が十分でなかったため、徴収額が不足していたものが505事業主分302,034,180円、徴収額が過大になっていたものが167事業主分39,185,789円(注) あった。これらについては、本院の注意により、すべて徴収決定又は還付決定の処置が執られた。これを都道府県労働基準局及び都県ごとに集計して掲げると、別表 のとおりである。
 これは、北海道労働基準局ほか30労働基準局及び東京都ほか9県管内の1,523事業主について本院が調査した結果である。

(注)  同一事業主について年度を異にして徴収不足及び徴収過大の事態があった場合は、それぞれ1事業主として掲記した。

(説明)

 労働保険は労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)及び雇用保険を総称するものであるが、いずれも工場、事務所、商店及び建設工事等に使用される労働者を被保険者とし、労災保険にあっては業務上の事由又は通勤による疾病、負傷等に対し療養補償給付等を、また、雇用保険にあっては失業等に対し失業給付等を行う保険である。そして、その保険料は、労災保険分については、全額これらの労働者を使用する事業主が負担し、雇用保険分については、失業給付に充てる部分は被保険者と事業主とが折半負担し、雇用安定事業等に充てる部分は事業主が負担することになっている。これらの事業主は、原則として、毎年度の初めに、その年度に使用するすべての労働者に支払う賃金総額の見込額に、労災保険率(注1) と雇用保険率(注2) とを合計した保険料率を乗じた概算保険料を都道府県労働基準局又は都道府県に申告、納付し、次の年度の初めに、実際に支払った賃金総額に基づいて計算した確定保険料申告書を提出して精算することになっており、この申告書の提出を受けた都道府県労働基準局等は申告書の記載内容を審査確認し、誤りがあるときは、正当な保険料の額を決定してこれを事業主に通知し、保険料の過不足分を還付又は徴収することになっている。
 しかして、保険料徴収の適否について検査したところ、前記の31労働基準局、及び10都県のうちの6都県では、事業主が確定保険料申告書を提出するに当たり、実際に支払った賃金の一部を脱漏しているなど賃金総額の記載が事実と相違していたり、労災保険率の適用を誤っていたりしていたものなどがあったのに、これに対する調査が十分でなかったため、505事業主分302,034,180円が徴収不足、167事業主分39,185,789円が徴収過大になっていた。

(注1)  労災保険率 労災保険の適用を受けるすべての事業の過去3年間の業務災害及び通勤災害に係る災害率等を考慮して定められており、事業の種類ごとに最低1000分の4から最高1000分の89となっている。

(注2)  雇用保険率 従来の失業保険の保険料率、被保険者の離職率、失業給付金の給付率等を考慮して定められており、54年度の場合は1000分の14.5(ただし、農林、水産等の事業は1000分の16.5、建設の事業は1000分の17.5)となっている。

(別表)

労働基準局・都県名 本院が調査した事業主数 徴収不足があった事業主数徴収過大があった事業主数 徴収不足額徴収過大額(△)

北海道労働基準局

87

22
千円
4,757
8 △2,474
青森労働基準局 26 7 2,221
2 △276
秋田労働基準局 27 7 888
2 △428
福島労働基準局 37 12 3,824
5 △431
茨城労働基準局 33 18 6,460
埼玉労働基準局 52 31 19,665
5 △405
千葉労働基準局 52 18 15,479
3 △660
東京労働基準局 191 79 45,655
26 △5,584
神奈川労働基準局 68 28 24,112
6 △1,197
新潟労働基準局 30 7 2,587
8 △664
富山労働基準局 19 5 1,308
4 △761
石川労働基準局 25 6 1,177
6 △555
福井労働基準局 20 6 684
静岡労働基準局 40 17 16,862
7 △3,162
愛知労働基準局 107 37 12,258
6 △1,672
三重労働基準局 34 9 6,777
6 △2,058
滋賀労働基準局 18 3 449
京都労働基準局 33 8 2,720
4 △2,494
大阪労働基準局 64 27 20,299
12 △1,926
兵庫労働基準局 89 31 49,119
12 △4,444
和歌山労働基準局 40 19 5,738
鳥取労働基準局 17 5 376
島根労働基準局 24 3 314
6 △755
岡山労働基準局 28 9 5,697
4 △533
広島労働基準局 33 7 3,618
6 △2,567
山口労働基準局 31 9 1,595
4 △1,291
香川労働基準局 24 7 1,370
福岡労働基準局 98 27 12,577
8 △1,147
大分労働基準局 29 11 2,610
宮崎労働基準局 19 4 1,295
1 △325
鹿児島労働基準局 35 12 3,479
3 △1,401
東京都 29 10 11,947
9 △1,230
富山県 11 1 580
兵庫県 1 1 12,732
広島県 8
4 △733
山口県 10 1 400
大分県 8 1 387
1,497 505 302,034
167 △39,185