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  • 昭和54年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第12 建設省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

補助事業の実施及び経理の適正化について処置を要求じたもの


(1) 補助事業の実施及び経理の適正化について処置を要求じたもの

(昭和55年11月18日付け55検第544号 建設大臣あて)

 建設省では、国庫補助事業として都道府県及び市町村等が事業主体となって施行する道路、河川、下水道等の工事並びにこれに伴って必要な用地の買収及び物件等の補償事業(以下「補助工事等」という。)等に要する費用について、昭和53年度2兆7536億余円、54年度3兆0008億余円の国庫補助金を交付している。
 しかして、本院で55年中に、53、54両年度に施行された補助工事等について調査したところ、53年度分については青森県ほか39都府県(注1) 、54年度分については青森県ほか25都府県(注2) 、及びこれら都府県管内の一部の市町村等(以下「事業主体」という。)では、年度内に完了していない補助工事等を完了したものとして、これに対する国庫補助金の全額の交付を受けており、補助事業の実施及び経理が適正でないと認められる事態が見受けられた。

 すなわち、上記各事業主体では、53年度に事業費3兆7208億余円、54年度に事業費2兆6217億余円で実施した事業のすべてが年度内に完了したとして、国庫補助金53年度分2兆1628億余円、54年度分1兆5242億余円の交付を受けていたが、実際は、このうち、53年度分14,440件(これに係る工事費等3963億余円)、54年度分8,239件(同2463億余円)の補助工事等が年度内に完了していなかった。しかるに、各事業主体は、これらの未完了補助工事等について法令上年度末までに行うこととなっている予算の繰越手続を執ることなく、当該工事等が年度内に完了したとする処理を行い、国庫補助金の全額(53年度分2313億余円、54年度分1387億余円)の交付を受けていた。

 そして、上記未完了の補助工事等に係る工事費等のうち前金払い又は部分払いとして年度末までに既に支払ったものを除いた額(以下「工事費等の残額」という。)の経理処理についてみると、いずれも補助工事等が年度内に完了したとする関係書類を作成し、このうち、出納閉鎖期日までに完了したものについでは当該年度の予算から支払い、また、同日までに完了しなかったなどのものについては、これらに係る工事費等の残額53年度分3,860件672億9百万余円(国庫補助金相当額383億3千8百万余円)、54年度分673件55億8千6百万余円(国庫補助金相当額33億7千6百万余円)を、出納閉鎖期日以降別途に保管し工事等の完了の都度支払ったり、工事等が完了していないのにその全額を支払ったりしている状況であった。また、これらの工事等の施行についてみると、年度経過後相当期間にわたり工事等が完了していないものが多く、例えば53年度分では、54年12月末に至ってもなお未完了となっているものが121件見受けられた。

 このような事態は、補助金等の予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号。以下「補助金適正化法」という。)等関係法令に違背するものであり、また、年度経過後、実際に補助工事等が完了するまでの間、交付済みの国庫補助金が事業主体に長期間滞留することになるうえ、その交付後、補助事業の内容が変化したなどのため補助金の減額を要する事態が生じても、これに対応できなくなるなど、国庫補助金の適正かつ効率的使用を妨げることにもなると認められる。そして、同省においても、従前からその発生を防止するための通達を発して注意を喚起し、55年1月から施行した本院会計実地検査の結果に基づき、特に同年2月にも各都道府県に対し建設大臣官房長名で重ねて通達を発し、更に、同年4月、54年度末で未完了となっているものの工事費等の残額に係る国庫補助金の繰越手続を同月末日までに執るよう特別に指示しているところであるが、年度内に完了していない補助工事等を完了したものとして処理している事態が依然として多数発生している状況である。

 しかして、このような事態を生じているのは、近年、事業実施の過程において、用地買収や補償交渉が難航したり、工事中の騒音その他に対する住民の反対があったりするなど各種の制約を受けることが多いため、年度内に完了しないと予測される補助工事等が増加しているにもかかわらず、各地方公共団体において、補助事業に係る予算の繰越手続を執ることをできるだけ避け、年度経過について意を用いない傾向があるなど、補助事業を法令に従って実施する意識に欠けていることによると認められるが、同省においても、このような事態の発生に対して、従来、通達等によって注意を喚起するだけで、これを防止するための実効性ある強い指導を欠き、特にかかる事態が発生した場合に厳正な態度で臨む姿勢に欠けていたことによると認められる。
 ついては、建設省において、地方公共団体に対し補助事業の円滑かつ適正な執行を図るための指導を一層強化、徹底するとともに、更に、今後このような事態が生じた場合には補助金適正化法に基づく厳正な処置を執るなどして、補助事業の実施及び経理の適正化を図る要があると認められる。

(注1)  青森県ほか39都府県 青森、秋田、山形、福島、茨城、群馬、埼玉、神奈川、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、愛知、三重、滋賀、兵庫、奈良、和歌山、鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、愛媛、高知、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄各県、東京都、京都府、大阪府

(注2)  青森県ほか25都府県 青森、秋田、山形、埼玉、神奈川、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、愛知、三重、滋賀、奈良、和歌山、島根、岡山、徳島、高知、佐賀、大分、沖縄各県、東京都、京都府、大阪府