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  • 昭和54年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第1 日本専売公社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

建築工事におけるコンクリートのポンプ車による配管打設経費の積算について


建築工事におけるコンクリートのポンプ車による配管打設経費の積算について

日本専売公社(以下「公社」という。)では、たばこ事業等の施設の近代化及び合理化を図るため従来から工場を統廃合して新鋭工場を建設し、また、製品の流通機能の充実を図るため配給基地倉庫等を建設している。
 しかして、関西支社ほか2支社(注) が昭和54年度中に施行している日本専売公社新関西工場(仮称)たばこ工場新築その他工事ほか2工事(工事費総額136億3800万円)について検査したところ、次のとおり、コンクリートのポンプ車による配管打設費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、上記3工事は、鉄骨鉄筋コンクリート造り又は鉄筋コンクリート造りのたばこ製造工場、流通センター倉庫及び支社事務所の建物を建設する工事であるが、これらの工事に使用するコンクリート111,941m3 はポンプ車による配管打設を行うこととし、これに要する経費は、他機関における土木工事の積算基準を参考として、51年3月に公社が改定した「建築工事積算基準」(以下「積算基準」という。)に基づき算定しているが、このうち労務歩掛かりについては、鉄筋コンクリートの場合の1m3 当たり特殊作業員、普通作業員等計0.21人を適用して打設労務費を算出し、これにポンプ車の運転費、回送費及び生コンクリート費を合わせて配管打設費を14億5821万余円と積算していた。

 しかし、本件各工事の施工実績をみると、公社の労務歩掛かりに比べて相当低くなっており、また、同種の建築工事を多数施行している他機関におけるポンプ車による配管打設の労務歩掛かりをみても、公社の歩掛かりはこれに比べて相当高くなっている状況であった。
 このような事態となっているのは、建築工事のポンプ車による配管打設は使用するコンクリートの品質、打ち込み又は締め固め作業等の施工条件が土木工事と異なるのに、その検討が十分でないまま他機関の土木工事の積算基準を参考として公社が積算基準を定めたことによるもので、これにより本件工事費を積算したのは適切でないと認められた。
 したがって、本件各工事の配管打設費について施工の実態に即して積算したとすれば、前記積算額を約5600万円程度低減できたと認められた。
 上記についての本院の指摘に基づき、日本専売公社では、55年10月に積算基準における配管打設費の労務歩掛かりを施工の実態に適合したものに改め、同月以降積算する工事から適用することとする処置を講じた。

(注)  関西支社ほか2支社 関西、関東、九州各支社