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  • 昭和54年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第3 日本電信電話公社|
  • 不当事項|
  • 予算経理

架空の名目によって旅費を支出し、これを別途に経理し又は職員に支給していたもの


(131) 架空の名目によって旅費を支出し、これを別途に経理し又は職員に支給していたもの

科目 (損益勘定) (項)営業費 (項)保守費 (項)管理共通費
(建設勘定) (項)電信電話施設費 (項)局舎建設費 (項)諸施設費 (項)総係費
1 部局等の名称 (1)近畿電気通信局 (職員部、第1営業部、第2営業部、第1業務管理部、第2業務管理部)
(2)東北電気通信局(施設部)

旅費の概要

公衆電気通信事業等の業務の実施に必要な出張
上記部局で職員に支給した旅費の総額 昭和53年度 9,946件 465,187,142円
昭和54年度 9,236件 411,774,236円
19,182件 876,961,378円
2 部局等の名称 名古屋都市管理部

大阪東、大阪西、大阪中及び大阪南各地区管理部

旅費の概要 

公衆電気通信事業等の業務の実施に必要な出張のうち、工事の設計、積算の基礎調査を行うなどのため、総行程150km未満で日帰りが原則となっている旅行であっても特に宿泊の必要があると認めた出張

上記部局で職員に支給した旅費の総額 昭和53年度 44,771件 593,603,260円
昭和54年度 32,439件 429,836,045円
77,210件 1,023,439,305円

日本電信電話公社では、業務に必要な出張については、旅費規程(昭和37年総裁達第59号)に従って旅費を支給することとしているが、上記の各部局においては、架空の又は日数等を付け増しした旅行命令に基づいて旅費を支出し、これを別途に経理して会食等の経費に使用したり、職員に支給したりしていた。これら不正に経理した旅費の総額は、1において279,783,440円、2において107,572,510円、計387,355,950円となっており、経理が著しくびん乱している。

(説明)

1 上記部局において、昭和53年度及び54年度に職員に支払った旅費の額は、(表1) のとおりとなっている。

(表1)

(表1)

 上記19,182件876,961,378円の支払額について、出張の事実の有無を調査したところ、旅行命令書、旅費請求書及び領収証書等の関係書類を作為するとともに、これに合わせて勤務票等の関係書類を整理するなどの方法により、出張の事実がないのに出張したこととして不正に旅費を支出していたものが、(表2) のとおり3,383件279,783,440円あった。

(表2)

(表2)

(表3)

(表3)

(表4)

(表4)

(注) 「別途経理金」欄の( )書きは、前年度からの繰越金及び会費等の受入金をそれぞれ内書きしたものであり、「計」欄は、53、54両年度分の純計である。

 上記の旅費の不正支出額は、会食等の経費に充てるための資金として、懇親会会費等の受入金1,157,929円と合わせて別途に経理されており、その使途について、裏帳簿、領収証書、その他関係資料等により調査したところ、(表3) のとおり、部内者又は部外者との会食の経費に182,955,924円、慶弔費等の交際費に14,601,530円、部内親睦会、運動部等への補助の経費に34,240,224円、繁忙時の職員の宿泊費に14,917,415円、夜食等の雑費に29,884,398円、計276,599,491円を使用し、会計実地検査当時4,341,878円を現金又は預金で保有していた。

2 上記部局において、昭和53年度及び54年度に職員に支払った旅費の額は、(表4) のとおりとなっている。
 上記77,210件1,023,439,305円の支払額について、出張の事実の有無を調査したところ、旅行命令書、旅費請求書及び領収証書等の関係書類を作為するとともに、これに合わせて勤務票等の関係書類を整理するなどの方法により、出張の事実がないのに出張したこととしていたり、出張の事実はあるが、日数及び宿泊数を付け増ししたりして不正に旅費を支出していたものが、(表5) のとおり20,246件107,572,510円あった。

 上記の旅費の不正支出額は、正規の時間外勤務命令がないまま行われている時間外勤務に対する手当の代替として支給したほか、支給する根拠のない手当に充当したとしているが、その事跡を証する記録、資料類はなくその事実を確認することはできなかった。

(表5)

(表5)

 本件1、2の経理は、いずれも日本電信電話公社会計規程(昭和28年公示第96号)及び前記旅費規程を無視して不正に資金をねん出し使用したものであって、その経理が著しくびん乱していると認められる。