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  • 昭和54年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第3 日本電信電話公社|
  • 不当事項|
  • 予算経理

職員給与の支出及びその決算処理が不当と認められるもの


(133)  職員給与の支出及びその決算処理が不当と認められるもの

科目 (損益勘定) (項)給与其他諸費 (項)営業費 (項)保守費 (項)管理共通費 (項)受託業務費
(建設勘定) (項)電信電話施設費 (項)局舎建設費 (項)諸施設費 (項)総係費
部局等の名称 日本電信電話公社本社
給与の概要 日本電信電話公社指定職員給与規則(昭和41年総裁達第95号)及び日本電信電話公社職員給与規則(昭和43年総裁達第51号)等に基づき、日本電信電話公社の職員に支給する基準内給与(基本給、扶養手当、調整手当)及び基準外給与(通勤手当、特殊勤務手当、期末手当、奨励手当、寒冷地手当、住居手当、宿日直手当、超過勤務手当、休職者給与)並びに予算総則による特別給与
職員給与の執行総額(特別給与を含む。) 昭和53年度 1,093,454,165,863円
給与関係の未払金計上額 昭和53年度 24,066,487,240円

本件は、職員給与に関する予算総則等の規定に違反して4,897,054,697円を支出し、収入支出決算書に事実と相違する表示をしたり、財務諸表に13,548,085,227円の不適正な未払金を計上したりしていたもので、経理が当を得ないと認められる。

(説明)

日本電信電話公社(以下「公社」という。)における職員給与の予算の執行状況及びその決算処理について検査したところ、次のような事態が見受けられた。

1 公社の職員に支給する給与については、予算総則において、その支給できる総額が、基準内給与及び基準外給与に区分して定められており、この基準内給与と基準外給与の金額を相互に流用したり、その経費に基準内給与及び基準外給与以外の経費を流用したりすること、また、これらの額を変更したりその額を超えて給与を支給したりすることは、日本電信電話公社法(昭和27年法律第250号)第53条及び第72条並びに予算総則の規定により、郵政大臣の承認ないし認可を受けなければならないことになっている。そして、昭和53年度の予算総則では基準内給与の額は648,548,199,000円、基準外給与の額は439,318,341,000円、総額は1,087,866,540,000円と定められており、その執行状況は、昭和53年度収入支出決算書において、「予算総則に規定した事項に係る予算の実施結果」として、基準内給与645,790,841,190円、基準外給与431,495,395,697円、総額1,077,286,236,887円で、いずれも予算の範囲内で支出したこととして表示されていた。

しかし、本院で検査したところ、労使協定による時間外手当の一律支給分が多額に上ったことなどのため、基準外給与のうちの超過勤務手当予算(宿日直手当を含み、通勤手当充当分を除く。)が26,511,618,643円、ひいて基準外給与全体においても4,897,054,697円が不足することとなった際、流用承認及び基準外給与の増額変更認可をとることなく、これを基準外給与以外の給与から支出していて、実際の執行額は基準内給与633,365,841,190円、基準外給与444,215,395,697円、総額1,077,581,236,887円となっていた。
 この実際の執行額は予算に対し相当の過不足を生ずるため、決算上は、基準内給与を12,425,000,000円過大に、基準外給与を12,720,000,000円過少に、総額を295,000,000円過少に、また、給与総額外の53年度の予算総則第27条に基づく特別給与を295,000,000円過大に計上処理していたものである。

2 超過勤務手当のうち時間外手当は、職員が実際に時間外勤務をした翌月の給与の支給日に支給されるもので、3月分については決算上支出済額にたてたうえ財務諸表に未払金として計上し、翌月に支払うことになっている。
 そして公社では、53年度決算に当たり、時間外手当等の職員給与の未払金として24,066,487,240円を計上し、これを54年度に繰り越しているが、その内容について検査したところ、適正な未払金は10,518,402,013円(54年3月の実績で翌月に支給する時間外手当等4,557,025,512円と54年3月の労使協定により翌月に支給することとなった時間外手当の一律支給分5,961,376,501円の合計額)であって、残余の13,548,085,227円は、翌年度以降の時間外手当の一律支給分に引き当てることを見込んで時間外手当を未払金として計上したもの(53年度に新規に計上した9,000,000,000円と過年度に同様計上した未払金の残額4,548,085,227円の合計額)であった。
 なお、本院の指摘を受けたため、公社では、55年3月31日をもって、未払金残額13,533,472,249円について、既に費用処理していた損益勘定に係る分11,517,548,815円を雑益に計上するとともに、資産価額に算入処理していた建設勘定に係る分2,015,923,434円を資産価額から減額する処理を行って精算を了し、54年度決算では給与関係の未払金として55年3月の時間外手当等の実績分4,603,283,127円を計上している。