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  • 昭和54年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第5 北海道東北開発公庫|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

船舶資金の貸付けについて


船舶資金の貸付けについて

北海道東北開発公庫では、北海道及び東北地方の産業の振興開発を促進し、国民経済の発展に寄与するための融資事業を行っており、その一環として昭和45事業年度から54事業年度までの間に、東京リーファーズ株式会社ほか35会社に対し、貨物船55隻の建造又は購入に要する資金の一部として240億9000万円を貸し付けているが、このうち54事業年度末現在で既に就航している船舶41隻に対する貸付け(貸付相手方29会社、貸付金額185億3500万円)について検査したところ、次のとおり適切でないと認められる点が見受けられた。
 上記の船舶資金の貸付けは、海上輸送の確保及び増強を通じて、両地方の産業の振興開発に寄与することを基本としており、貸付対象船舶は、同地域に就航して、同地域内における積荷又は揚荷を主たる目的とするものに限定している。そして、貸付対象船舶の同地域における就航を確保するため、貸付契約書において、当該船舶の航路を指定してこれを厳守することを義務付け、その運航状況等につき報告させるとともに、指定航路の運航に使用しないときは貸付金を繰上償還させることを約定し、更に、貸付相手方から貸付対象船舶を借り受けて運航する用船者にも指定航路に就航することを書面で確約させている。

 しかして、前記の41隻(外航船11隻、内航船30隻)に対する貸付けについて、当該船舶の運航状況を調査したところ、指定航路での就航が著しく少なくなっていたり、指定航路に全く就航していなかったりしているものが外航船の全部及び相当数の内航船について見受けられ、なかにはこのような事態が2年以上継続しているのに、これに対して適切な処置を講じていないものが8隻、貸付相手方6会社、貸付金額で48億2000万円ある状況であった。

 このような事態を生じたのは、同公庫において、上記外航船のように指定航路での就航を確保することに懸念のある種類の船舶を対象に貸し付けるときは、運航計画の妥当性についての検討を他の船舶より厳格に行うべきであるのに、これに関する具体的基準が欠けていたこと、貸付相手方が提出した船舶運航状況に関する報告について客観的な資料によりその事実を確認することとしていなかったため、報告が事実と相違しているのにこれを看過していたことなどによると認められ、したがって、運航状況確認のための客観的な資料を貸付相手方から提出させるなどして運航の実態をは握し、また、指定航路での就航が少ない船舶に対する処理基準を明確にするなど、内部の取扱基準を整備する要があると認められた。
 上記についての本院の指摘に基づき、北海道東北開発公庫では、55年6月に貸付対象船舶の選定についての内部基準を整備し、貸付対象船舶を北海道及び東北地域へ就航する確実性の高い種類のものに限ることとし、また、同年8月及び10月に運航状況のは握を客観的な資料により行うこととするとともに、指定航路での就航が少なくなっているものに対する対応処置の内容、時期等に関する具体的な取扱基準を新たに定める処置を講じた。