日本住宅公団(以下「公団」という。)では、賃貸住宅及び分譲住宅の募集業務の一部を、株式会社団地サービス(以下「団地サービス」という。)に委託して行っているが、公団本社及び関西支社がその業務の代価として昭和54年度に地サービスに支払った委託手数料2億7915万余円について検査したところ、このうち新規賃貸住宅及び長期特別分譲住宅に係る募集案内書及び申込書(以下「案内書等」という。)の配布業務に係る委託手数料の算定が、業務の実態からみて適切でないと認められる点が次のとおり見受けられた。
上記の案内書等の配布業務は、案内書等を公団本社又は関西支社の住宅募集センターから公団が指示した配布場所まで配送する作業と、そこで希望者に無料配布する作業等であり、その委託手数料の内容は、団地サービスが自ら委託業務を処理するものと想定して、本社が定めた積算の基準によって、配送作業についてはアルバイト人件費、配布作業については配布場所借上費及びアルバイト人件費とし、54年度は委託業務1回当たり、本社住宅募集センター分は618,000円、関西支社住宅募集センター分は277,000円としている。そして、実際の委託回数にこの単価を乗じた額を支払うこととしており、54年度は本社住宅募集センター36回分2224万余円、関西支社住宅募集センター29回分803万余円計3028万余円の委託手数料を支払っている。
しかし、団地サービスにおける委託業務処理の実態についてみると、配布作業については、百貨店等に再委託し、その費用も公団積算では2685万余円となっているのに対し、実際は683万余円となっているなど、公団が積算において想定しているものと著しく異なっていて、公団の委託手数料の算定は団地サービスにおける委託業務の実態からみて適切でないと認められた。
いま、仮に上記委託業務処理の実態に適合した方法によって積算したとすれば、配送業務において積算漏れとなっていた車両借上費等の経費を考慮しても本件委託業務に要する費用は約1900万円となり、上記委託手数料を約1100万円程度節減できたと認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、日本住宅公団では、55年11月に本業務の委託手数料積算基準を整備して業務の実態に適合したものに改め、同年4月以降の委託業務から適用することとする処置を講じた。