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  • 昭和54年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第10 日本鉄道建設公団|
  • 不当事項|
  • 工事

バラスト軌道新設工事の施行に当り、道床バラストサック製撒布工事費等の積算を誤ったため、契約額が割高になったもの


(150) バラスト軌道新設工事の施行に当たり、道床バラスト製作散布工事費等の積算を誤ったため、契約額が割高になったもの

科目 (款)建設費 (項)新線建設費
部局等の名称 大阪支社
工事名 阿佐、海部〜穴喰軌道新設他工事
工事の概要 阿佐線建設工事の一環として、総延長6,070mにバラスト軌道を新設する工事
工事費 112,327,861円(当初契約額108,000,000円)
請負人 大鐵工業株式会社
契約 昭和54年8月 氏名競争契約
しゅん功検査 昭和55年2月
支払 昭和54年8月、55年2月 2回

 この工事は、軌道の道床バラスト製作散布工事費等の積算に当たって、曲線区間の作業増しの計算を誤ったなどのため、契約金が約2180万円割高になったと認められる。

(説明)

 この工事は、日本鉄道建設公団が建設中の阿佐線工事(高知県後免・徳島県牟岐間延長約125km)の一環として、徳島県内の海部・穴喰間延長6,070mに軌道を新設するため、既に完成した軌道路盤の上部に、道床用のバラスト(砕石)を敷きならしレールを敷設するなどの工事を施行するもので、当初設計において5,755mを施行することとし、その後315mを追加して施行することとしたものである。
 そして、施行に際しては、軌道路盤へのバラスト搬入路がないため、軌道路盤上に作業基地で組み立てた軌きょう(レールとマクラギをはしご状に組み立てたもの)を敷き並べ、この軌きょうを利用してバラストを鋼製トロにより運搬散布し、このバラストをマクラギ下にてん充しながら軌きょうを所定の高さまで持ち上げた後、マルチプルタイタンパ(軌道上を自走し道床バラストを連続的につき固めなどする作業車)により道床をつき固めて仕上げる施工方法によることとしている。

 しかして、本件工事費は、当初設計の軌道延長5,755mの工事費に追加設計した軌道延長315mの工事費を加算しているが、うち当初設計時における軌道延長5,755m の予定価格の内訳についてみると、道床バラスト製作散布工事費の積算に当たって曲線区間の作業割増しの計算を誤ったり、道床総つき固め工事費の積算に当たって歩掛かりの適用を誤ったりしたため、次のとおり積算が過大となっていると認められる。
 すなわち、道床バラスト製作散布工事費は、軌道延長5,755mにつき、道床バラスト1m3 当たり9,080円、7,673m3 で総額69,670,840円と積算しているが、このうち道床新設費の積算についてみると、バラストのてん充、軌きょうの持上げ等に要する所要人員は日本国有鉄道制定の新設線軌道工事積算要領の道床新設の歩掛かりを適用して算出することとし、直線区間(3,890m)及び曲線区間(1,865m)の総作業人員を軌道工421人、普通作業員3,810人と算出し、これに労務単価を乗じて計36,150,850円と算定していた。しかし、このうち曲線区間の歩掛かりの算出の際に、上記積算要領によれば曲線区間の歩掛かりは直線区間の標準歩掛かりに割増し人員を加算することとなっているのに、誤って、この割増し人員を乗じて所要人員を算出しているため、曲線区間における歩掛かりが著しく過大なものとなっている。

 いま、上記の曲線区間における歩掛かりを補正し、また、直線区間及び曲線区間のそれぞれの軌道延長が誤っているので、これを適正な軌道延長(直線区間3,735m、曲線区間2,020m)により所要人員を算出すると、軌道工は422人、普通作業員は1,727人となり、道床新設費は18,663,500円となるので、結局、道床バラスト製作散布工事費の積算は、一部過少積算となっていたバラスト積込み費、運搬散布費等を考慮しても、1m3 当たり6,400円、7,673m3 で49,107,200円となり、20,563,640円が過大となっていると認められる。
 このほか、道床総つき固め工事費の積算において、本件の施工方法と異なる、はじめにバラストを敷きならしてから軌きょうを敷設する施工方法の場合の歩掛かりを適用して、軌重運転工、軌道工、普通作業員の所要人員を算出し、1m当たり1,140円、5,755mで6,560,814円と算定していたが、本件工事が前述のとおりの現場条件であることを考慮して、はじめに軌きょうを敷き並べてからバラストをてん充する方法で施工することとなっていることから、これに適合するつき固めの歩掛かりを適用すべきであったと認められ、これにより積算すると1m当たり755円、5,755mで4,345,101円となり、2,215,713円が過大となっていると認められる。 したがって、上記の適正な歩掛かりに基づき本件工事費を修正計算すると、当局の積算において過少となっていた軌きょう新設費等522,140円を考慮しても総額90,515,067円で足り、本件契約額はこれに比べて約2180万円割高になったと認められる。